走塔、京橋本社ビルで月例大会 消防局の新人・甲田星羅が新人記録
高層建築の階段を駆け上がる競技「走塔」の月例大会が25日、京橋本社ビル(42階建て)で開かれた。優勝は東亰走塔クラブのベテラン・垂水大地(38)で42階・11分32秒。2位には消防局チームの新人・甲田星羅(24)が42階・11分58秒で入り、大会の新人記録を更新した。甲田は「半年前は3階で息が上がっていた」と振り返った。
■ 通年競技、月1大会の顔ぶれ
走塔は南阿連邦の鉱山縦坑を起源とする、高層建築の階段を駆け上がる個人競技。東亰では京橋本社ビル(オフィスビル・42階建て)の非常階段を使う「京橋本社ビル走塔」が月例大会として定着しており、25日の開催で通算87回を数えた。出場は東亰走塔クラブと消防局チームが中心で、スコアは「n階・n分n秒」の表記で示される。ルールの詳細な解説は本紙では行わない。
■ 垂水大地、危なげなく優勝
東亰走塔クラブの垂水大地(38)は42階・11分32秒で優勝した。垂水は同クラブの創設メンバーの一人で、月例大会の優勝は今季5回目。レース後、「今日は踊り場の風がいつもより強くて、上のほうで少し脚が流れた」と話し、記録そのものには「まだ伸びしろがある」と控えめなコメントを残した。垂水は10年近く走塔を続けており、走塔クラブの立ち上げ当初は参加者が10人に満たない日もあったという。「今は毎月、待機列ができるほどになった。地味な競技だと思われがちだが、階段を上るだけの単純さが、続けやすさにつながっているのかもしれない」と競技の変化を振り返った。
■ 甲田星羅、42階・11分58秒で新人記録
2位に入った消防局チームの甲田星羅(24)は、大会史上の新人記録(参加1年未満の選手による最速記録)を更新した。甲田は今年3月に消防局に採用されたばかりで、走塔は職務訓練の一環として始めたという。「半年前は3階で息が上がっていて、上を見るのも怖かった。きょうは42階まで、一度も呼吸を整えるために足を止めずに上がれたのが自分では一番うれしい」と振り返った。消防局チームの先輩隊員は「うちの中でも、半年でここまで伸びた選手は記憶にない」と評した。
■ 大学サークルも参加、裾野の広がり
今回は東亰理工大学の登山サークルからも3人が招待参加した。既報の機巧祭(10月4日・京橋)への大学サークル参加増加と同様、走塔でも学生の裾野が広がりつつあるといい、大会運営は「来月以降、学生枠の正式な設置も検討したい」としている。招待参加の3人のうち最速タイムを出した2年生は「登山サークルでは縦の動きの練習台が少なく、非常階段は貴重な練習場所。次は自分も正式にエントリーしたい」と話した。
■ 消防局チーム、月例大会を訓練に活用
消防局チームの参加は、高層建築での救助活動を想定した体力づくりの一環という位置づけで、月例大会にはほぼ毎回選手を送り込んでいる。チームを率いる隊長は「タイムを競うこと自体が目的ではないが、数字が出ると隊員の意識が変わる。甲田のように半年で結果を出す選手が出てくると、若手全体の空気が良くなる」と話した。大会運営によると、消防局チームの参加は3年前から続いており、東亰走塔クラブとの合同練習も月1回のペースで行われているという。
■ 遠野汀記者の視点
階段を上るだけの競技に見えて、踊り場ごとの風、階数表示の見え方、呼吸の配分と、選手たちが語る細部はどれも具体的だった。甲田星羅の「一度も足を止めなかった」という一言に、半年間の積み重ねが凝縮されているように感じた。次回大会は10月下旬、同じ京橋本社ビルで開催予定。
