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記者、話題の呼吸法を1カ月試した 「視えなかったが、朝は気持ちよかった」

2026年(透暦52年)10月11日 (文化部・遠野汀) English

©東亰新報

中高生の間で流行する「視える」系呼吸法動画について、本紙記者が実際に1カ月間試した一人称企画。小型漂着生物が視えるようになるとされる呼吸法を毎朝続けた結果、何も視えることはなかったが、思いがけない副産物があったという。

■ きっかけは、教育面の取材

この企画を始めたきっかけは、他部署の記者が担当した「視える」系呼吸法動画の教育面取材だった。中高生の間で流行しているという呼吸法の動画を見せてもらい、正直なところ「胡散臭い」と思った。だが同時に、TDAが繰り返し「発現条件は未解明であり、『開発法』なるものに科学的根拠はない」と言い続けているのを聞くうち、自分で一度試してみないと何も言えないのではないかと思うようになった。そこで9月中旬から10月中旬まで、毎朝同じ呼吸法を自分の体で1カ月間試すことにした。

■ やり方は単純、続けるのは単純ではない

動画が教えるやり方は単純だ。朝、目覚めてすぐ、窓を開けて外の空気を吸い込み、数を数えながらゆっくり吐く。これを十数回繰り返す。小型漂着生物が「視える」ようになるのはこの呼吸を一定期間続けた後だという。最初の1週間は寝坊との戦いだった。6時に起きるつもりが7時になり、呼吸法どころか朝食の時間すら無くなる日が何度もあった。

■ 2週目、何も視えないことに慣れてくる

2週目に入ると、朝6時に起きること自体には慣れてきた。何かが視えるかどうかより先に、毎朝同じ時間に窓を開けて空気を吸うという行為そのものが、ちょっとした儀式のようになっていった。もちろん、小型漂着生物らしきものは一度も視えなかった。TDAの担当者に取材で確認したところ、「発現条件は未解明であり、呼吸法によって透過感応が開眼するという科学的根拠はない。これまでの検証でも、呼吸法と透過感応の発現に相関は見られていない」との回答だった。

■ 九重果林さんの見方

揺らぎ起源論の在野研究者・九重果林さん(52)にこの企画について話すと、笑いながらこう言われた。「視える視えないの話は、本物の揺らぎ由来の現象の周りに、いつも必ず生えてくる雑草のようなものです。雑草だからといって、全部抜いてしまえばいいという話でもない。雑草のおかげで、本物の土の在りかに気づく人もいる」。本物と信仰めいたものの間に、きっぱりした線を引かない物言いが印象に残った。

■ 1カ月を終えて

結局、1カ月続けても何も視えなかった。透過感応が開眼した様子も無い。それでも、毎朝6時に窓を開けて空気を吸うという習慣だけは、企画が終わった後も続けている。理由を聞かれると困るのだが、何かが視えるようになったわけではないのに、朝の気分が以前より少し軽くなった気がするのだ。視えなかったが、朝は気持ちよかった——これが、この企画で得られた唯一の、そして一番誠実な結論だと思う。

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