歌手・白瀬ユキ、新曲「一方通行」配信開始 揺らぎに重ねた片思いの歌
バラード歌手の白瀬ユキ(31)が5日、新曲「一方通行」を配信サービス「ミナト」で配信開始した。届けても返ってこない想いを、こちらから送れず届くだけの揺らぎの性質に重ねた歌詞が特徴で、本人は「向こうから届いた子守唄を歌わせてもらっている立場だから、いつか一方通行そのものを歌にしたいと思っていた」と語った。
■ 「届くだけで、返せない」を歌に
白瀬ユキは、既報の「岸の子守唄」カバーで知られるバラード歌手。5日の配信リリース発表会で披露した新曲「一方通行」は、恋愛の歌でありながら、歌詞の随所に揺らぎの用語がにじむ構成になっている。「送りたくても、届けられない」「見えるだけで、触れられない」といったフレーズについて、本人は「揺らぎという現象そのものが、もう何年も前からこの世界の人間にとっての『届かない想い』の比喩になっている。今さら使うのは照れくさかったが、避けて通れないテーマだと思った」と説明した。
■ 子守唄カバーから5年、オリジナルへ
白瀬は「岸の子守唄」のカバーで知られ、式典や追悼の場で歌われることも多い。今回の「一方通行」は、本人にとって久しぶりの完全新作オリジナル曲だという。「カバーを歌わせてもらう立場が長かったので、向こうから届いたものを歌う自分と、こちら側から何かを作って送り出す自分の違いを、ずっと考えていた。今回は後者の曲」と話した。制作には半年近くをかけたといい、「言葉選びで一番苦労したのは、『悲しい歌』にしないことだった。届かないことを、絶望ではなく、それでも届いた意味として歌いたかった」と振り返った。
■ 配信会見でのひとこと
発表会の終わりに、記者から「もし本当に窓の向こうに届くとしたら、何を届けたいか」と問われた白瀬は、少し考え込んでから「届けたいもの、というより、届かなくても困らない関係でいたい、と答えたい。届くことを前提にすると、届かなかったときに全部が崩れてしまう気がする」と答えた。会場からは小さな笑いと拍手が起きた。長年のファンだという同席の芸能記者は「らしい答えだった。彼女の歌にはいつも、届かないことを前提にした上での優しさがある」と評した。
■ 「ミナト」で早速上位に
配信開始直後から、音楽ランキングサービス「ミナト」では上位に入る動きを見せている。同サービスの担当者は「岸辺セブンに続き、またバラード曲が強い動きを見せている。揺らぎをテーマにした楽曲は配信者の岸見物系コンテンツとも結びつきやすく、拡散力がある」と分析した。ファンの間では、歌詞に出てくる「窓」という言葉が、定常窓を指しているのか、比喩としての窓なのかを巡って解釈が分かれており、本人は「どちらだと思って聴いてもらっても構わない。そこは決めずに書いた」と笑顔で答えた。
■ ジャケットにも窓のモチーフ
配信ジャケットには、丸い輪郭の向こうに淡い光がにじむデザインが使われている。デザインを手がけたのは窓グッズの人気で知られる若手イラストレーターで、「依頼を受けたとき、定常窓そのものを描くのではなく、誰かが振り返った先に見える丸い光、という抽象的な形にしたいと伝えられた。具体的な窓を描かない分、聴く人それぞれの『届かないもの』を思い浮かべてもらえる余白を残したつもりだ」と話した。レコード会社「潮騒レコード」の担当者は「岸辺セブンに続いて、所属アーティストから揺らぎを下敷きにした楽曲が出るのは珍しい。今後も世界の出来事とうまく重なる曲作りを後押ししたい」と述べた。
■ 次は12月に単独公演
白瀬は、12月に東亰市内で単独公演を予定していることも明らかにした。「一方通行」はその公演のセットリストにも入る見込みで、「届かないことを歌う曲だけど、ライブはこちらから届けられる数少ない場所。だからこそ、生で聴いてほしい」と話し、公演の詳細は追って発表するとした。


