速報
← トップへ戻る

連載

岸八の枕:覚書の枕

2026年(透暦52年)10月15日 (寄稿・柳亭岸八) English

©東亰新報

連載コラム「岸八の枕」第6回。窓条約の暫定合意と「覚書」の記事を読んだ落語家・柳亭岸八が、落語の「枕」と、公の場に出せない話の共通点について語る。

今朝の紙面に「覚書」という言葉が出ていた。条約の本体には載らない、でも確かに存在する取り決め、ということらしい。全部は見せない、要旨だけ見せる。なるほどなあ、と感心してしまった。

落語の「枕」も、似たようなものだ。本題に入る前のよもやま話で、客の顔色を見て、今日はこの小噺でいくか、あの世間話にするか決める。枕で全部をさらけ出す噺家はいない。本題に関係ありそうな顔をして、実は半分は小屋の外の話をしている。それでも、客はちゃんと「今日は乗れる」とか「今日はよそよそしい」とか分かってしまう。要旨だけで、本当の調子が伝わるのだ。

外務省の人も、きっと似たことを感じているんじゃないか。覚書の要旨を見せて、全文は見せない。それで「何か隠しているのでは」と言われる気持ちも分かるし、「全部出したら、むしろ話がまとまらなくなる」という事情も、商売をしている身からすれば分かる気がする。噺家だって、枕で言うことを全部正直に言ったら、客は帰ってしまう。

今夜の高座では、この「覚書」の話を枕にしようと思っている。もちろん、本題とは関係ない。関係があるような顔をして、少しだけ話して、本題に入る。覚書というのは、案外、噺家の商売道具に近いのかもしれない。

この記事に登場する人物

広告

来年度も、料率は変えません。

透過指数保険料、据え置きを継続。そなえ屋損害保険。

関連記事

  • 政治

    窓条約、暫定合意へ 軍事転用の明文禁止が決着、同盟優先供与は別途の覚書に

    外務省は15日、窓条約交渉について、窓機・定常窓関連技術の軍事転用を明文で禁止する条文で参加国の実務者間に暫定合意が成立したと発表した。既報のとおりアメリアが求めてきた同盟国への優先供与は条約本体には含めず、別途の覚書で扱うことで折り合った。6日の原案提示から9日での決着で、年内の正式調印を目指すという。