朝ドラ『窓の家』、総集編を10月に再放送 初代主演・鷺沼雪乃さん(82)「あの頃の空気を、もう一度」
東亰中央テレビ(TCT)は6日、1975年の家族を描く朝の連続ドラマ『窓の家』の総集編5話を、10月中の毎週末に再放送すると発表した。放送50周年を迎える来年に向けた先行企画で、初代主演を務めた女優・鷺沼雪乃さん(82)が半世紀ぶりとなる本紙の単独取材に応じ、「あの頃の空気を、もう一度」と撮影当時を振り返った。
■ 来年の50周年へ、先行の総集編
『窓の家』は、既報のとおり1975年の揺らぎ発生直後の家族を描くTCTの朝の連続ドラマで、放送開始から来年で50年を迎える。TCTは6日、節目を前にした先行企画として、過去の名場面をまとめた総集編5話を10月の毎週末に再放送すると発表した。担当プロデューサーは「本放送時に視聴していた世代と、再放送で初めて触れる若い世代の両方に向けた編成にした。1話ごとに異なる年代の名場面を中心にまとめている」と説明した。
■ 初代主演、51年ぶりの単独取材
初回放送当時に主演を務めた女優・鷺沼雪乃さん(82)は、現在は演劇活動から退き、都内で静かに暮らしている。これまで節目の取材をほとんど受けてこなかったが、今回の総集編企画を機に、本紙の単独取材に応じた。「出演の依頼を受けたのは1974年の終わり。揺らぎという言葉もまだ新聞に出ていなかった時期で、脚本も『少し不思議な時代の家族の話』という程度の説明しか受けていなかった」と振り返る。
■ 「あの頃の空気を、もう一度」
鷺沼さんは、収容施設の取材映像や当時のニュース映画を参考に役作りをしたという。「台本には書かれていない空気のようなものがあった。何が起きているのか誰も正確には分かっていないのに、とにかく毎日を続けていかなければならない、という感覚。それを演技で再現しようとした」と話す。総集編の試写を見た感想を問われ、「古い映像なのに、あの頃の空気がそのまま残っていた。年を取ってから自分の演技を見るのは少し怖いが、もう一度あの空気の中に戻れた気がした」と笑顔を見せた。
■ 若い視聴者の反応
総集編の予告は6日からTCTの配信サービスでも先行公開され、若い視聴者からの反応が早速広がっている。既報の岸辺セブンのファンだという10代の視聴者は「揺らぎが始まったばかりの頃の話なんて、歴史の授業みたいで最初は身構えたけど、予告を見たら普通の家族の喧嘩の話だった。もっと見たくなった」と話した。TCTの担当者は「歴史物として身構えられると距離ができてしまう。あくまで家族の物語として見てほしい」と話している。
■ 芸能記者の見方
長年『窓の家』を追ってきた芸能記者は「総集編という形を取ってはいるが、実質的には来年の50周年に向けた最初の仕掛けだ。鷺沼さんが半世紀ぶりに口を開いたこと自体が、来年への大きな呼び水になる」と分析する。制作サイドは続編や特別編の構想についてはまだ明言していないが、「50周年に向けて、何らかの形で鷺沼さんにも関わっていただけたら」と含みを持たせた。
■ 透暦賞との距離
既報のとおり、映画・ドラマの年間賞「透暦賞」は毎年1月に発表される。今回の総集編は選考対象の新作には当たらないが、業界関係者の一人は「節目の年に向けた機運づくりとしては、こうした企画が審査員の記憶を刺激する効果はある」と話した。鷺沼さんは「賞がどうとかより、あの時代を知らない人に、ほんの少しでも空気が伝わればそれで十分」と静かに語った。



