速報
← トップへ戻る

文化

窓室の湯呑み、作っているのは常滑の三代目 「割れ方まで報告される器」

2026年(透暦52年)10月10日 (文化部・遠野汀) English

©東亰新報

次元調査課の窓室に置かれ、窓番の連載「窓番日誌」にも度々登場する湯呑みは、常滑の窯元三代目・榊原周造さん(59)が手がけていることが本紙の取材で分かった。5窓すべてに同じ型を納めており、「割れた、欠けたという報告まで律儀に届く器は、これだけだ」と笑う。

次元調査課の5つの窓室には、どこにも同じ形の湯呑みが置かれている。連載「窓番日誌」にも幾度となく登場し、読者から「あの湯呑みはどこの焼き物か」という問い合わせが編集部に寄せられたこともあったという。取材を進めると、常滑の窯元三代目・榊原周造さん(59)が一人で手がけていることが分かった。

榊原さんによると、次元調査課が2024年の第1窓稼働前、「夜通し座る仕事だから、手に馴染む厚みのものを」と依頼してきたのが始まり。以来、5窓すべてに同じ型の湯呑みを定期的に納めている。「役所の仕事らしく発注書は毎回きっちり届くが、理由の欄に『夜勤者の手が冷えないように』と書かれていたのは、長く窯元をやっていて初めてだった」と振り返る。

納めた湯呑みが割れたり欠けたりすると、次元調査課から律儀に報告が届くという。「取引先でそんな報告をくれるところは他にない。割れた理由が『窓が開いたときに手が滑った』だったりするので、毎回ちょっとした物語を聞いている気分になる」と榊原さんは話す。

既報の連載「窓番日誌」では、長時間の開口の夜に湯呑みを「いつもより一つ多く並べた」という一節があった。榊原さんはこの回を読者から教えられて知り、「自分が焼いたものが、誰かの夜を支える小さな道具になっているのだと思うと、焼き物屋としては何より嬉しい話だ」と語った。

広告

営業中です。枝川・鵜木食堂。

封鎖区域の外から、いつもの定食をお届けします。

関連記事

  • 連載

    窓番日誌:見張りが触れた夜

    連載「窓番日誌」第1回。第3窓の夜勤に入っていた窓番が、見張りがガラスに触れた夜のことを書く。

  • 連載

    窓番日誌:札を数えそこねた夜

    連載「窓番日誌」第2回。第5窓が過去最長の87分間開口した夜、窓番が見た市場の光景と、数えそこねたものについて書く。