次元調査課、玄洲発表を「注視」 窓は今夜も、いつもどおりの5基
TDA次元調査課は22日、玄洲政府の反復揺らぎ確認発表(既報)を受けた定例会見を開いた。担当者は「注視している」としつつ、自国の5基の定常窓の運用にはなんら変わりがないと強調した。この日の窓の開閉見込みは第1窓が夕方、第3窓が終日開見込みで、第2・4・5窓は閉。灯窓茶房には今夜も、玄洲のニュースを知ってか知らずか、いつもどおりの客が並んだ。
■ 「注視」の中身
次元調査課は22日昼の定例会見で、政治面既報のとおり玄洲政府が渭水回廊帯の「分水嶺観測点」で反復揺らぎ候補を確認したと発表したことに触れ、「注視している」と述べた。担当者によれば、具体的には玄洲側の今後の公表内容と、第7次国際共同研究(共同議長・日ノ國とヒンド連邦)の場での情報提供の有無を見ていくという。「こちらから働きかけて情報を引き出すような性質のものではない。向こうが出すものを、出た分だけ受け止める」との説明だった。
■ 5基の運用に変わりなし
火浦誠局長は「5基の定常窓の運用そのものに、今回の発表で変わるところは何もない」と強調したうえで、「よその国の観測を、こちらの物差しで採点するようなことはしたくない」と述べた。日ノ國が2021年に羽田沖で反復揺らぎを初確認してから第1定常窓の稼働(2024年)まで3年を要した経緯を踏まえ、担当者は「玄洲が同じ道のりをたどるとは限らないし、たどらないとも限らない。今の時点で言えることは少ない」と繰り返した。
戸田輪記者の見立てでは、玄洲の発表そのものより、この街の人々が「窓」という言葉に反応する速さのほうが興味深い。会見場の隅では、通いの記者から「向こうにも岸見物みたいな人たちはいるんですかね」という、誰に聞くともつかない独り言も漏れた。答えは、当然、まだ誰も持っていない。
■ きょうの窓、いつもどおりの表情
22日午前6時発表の開閉予報では、第1窓「灯しの街」が夕方の開見込み、第3窓「粘体の沼」が終日の開見込みとされた一方、第2窓「機構の海」、第4窓「巨獣の原野」、第5窓「剣の国」はいずれも閉の見通し。既報の第3窓の「見張り」(公式番号88-C)は21日以降、目立った動きの報告はなく、次元調査課は「静穏な状態が続いている」とだけ述べた。第2窓は17日の再開口以来、動きのない日が続いている。
■ 灯窓茶房、いつもの列
羽田沖・第1窓に隣接する民間喫茶店「灯窓茶房」には22日も夜、開業以来続く行列ができた。店主の宮井朔(38)は「玄洲のニュースを知ってきたお客さんもいたが、ほとんどはいつもどおり、窓が開くかどうかだけを気にしていた」と話す。店内の壁には既報の外部有識者検討会・倫理論争の資料棚があり、22日は玄洲の発表を伝える号外的な貼り紙が急きょ追加されたが、客の反応は「へえ」という程度だったという。
■ 「向こうが増える」感覚
窓室で夜勤に入る窓番の一人は取材に、「自分たちの窓の向こうを見るだけでも精一杯なのに、世界のどこかにもう一つ窓ができるかもしれないと言われると、単純に忙しくなる想像しかできない」と率直な感想を漏らした。次元調査課は今のところ、玄洲の件を理由にした人員体制の見直しは検討していないとしている。5窓・122系統(既報のとおり先週、第122系統まで登録が進んだ)というこの街の数字が、今後も世界で唯一のものであり続けるとは限らない——そんな当たり前のことを、22日の会見はあらためて思い出させた。
■ 「灯しの街」との関係は
一部の見学希望者からは「玄洲の分水嶺観測点で見えているのが、もし第7系統『灯しの街』と同じ世界線だったらどうなるのか」という質問も寄せられたという。次元調査課の担当者は「系統の同定には、観測地点が離れていても同位体比などの照合が必要で、現時点でその作業ができる材料が玄洲側から出ていない。可能性を否定はしないが、今の段階で結び付けて考えるのは早すぎる」と述べ、慎重な姿勢を崩さなかった。既報のとおり第5窓「剣の国」と第7系統「灯しの街」の間にも、「式」の札という共通する手がかりが見つかっていながら関係は未解明のままであり、系統どうしのつながりを急いで決めつけない態度は、この面の一貫した流儀になっている。
