第5窓の窓漂着物2点、鑑定結果は「未特定」 留め具と編み紐、材質なお不明
第三鑑定センター窓班は27日、第5窓「剣の国」で回収された窓漂着物2点(9月7日の留め具、9月21日の房飾りのような編み紐)の鑑定結果を発表した。いずれも材質・製法とも既知の系統資料と一致せず「未特定」。第7系統「灯しの街」の「式」の札との類似が繰り返し指摘されているが、鑑定は今回も「形状の近さ以上のことは言えない」との立場を維持した。
■ 2点とも「未特定」、既知系統と一致なし
第三鑑定センター窓班は27日、第5窓「剣の国」(第52系統)で回収された窓漂着物2点の鑑定結果を発表した。対象は既報の留め具(9月7日回収)と、房飾りのような編み紐(9月21日回収)。いずれも同位体比・繊維構造とも既知121系統(9月18日に第150系統まで登録済み)のいずれとも一致せず、「未特定」の分類で登録棚に収められることになった。窓班の担当者は「窓漂着物は国庫帰属のため市場には出ないが、鑑定作業自体は通常の漂着物と同じ手順で行っている」と説明した。
■ 留め具は金属質、編み紐は植物繊維とみられる
留め具は既報のとおり小型の金属質の部品で、今回の分析では表面に微細な刻み模様があることが新たに判明した。刻みの意味・用途は不明。編み紐は植物繊維に似た構造だが、既知のどの植物種の繊維とも完全には一致せず、窓班は「植物由来である可能性は高いが、断定はできない」としている。2点の間に共通の製法上の関連があるかどうかも「今回の分析では判断できない」との結論だった。
■ 「式」の札との類似、鑑定でも「形状の近さ以上は言えない」
第7系統「灯しの街」の「式」の札に似ているとの指摘は、既報のとおり第5窓の窓越しの観測でも繰り返し出ている。窓班は今回の鑑定にあたり、灯しの街関連の既存資料と留め具・編み紐の形状データを突き合わせたが、「刻みの配置や紐の結び方に共通する意匠が見られるとは言えるが、材質そのものが一致するわけではなく、形状の近さ以上のことは今回も言えない」とのコメントを発表した。第52系統と第7系統の関係は依然として未解明のまま、25日に委員が内定した外部有識者検討会の議題としても扱われる見通し。
■ 保管は登録棚で、公開展示は当面なし
窓班によれば、2点は既報どおり次元境界管理法に基づき国庫帰属となっており、鑑定完了後は第三鑑定センターの登録棚に「未特定」の分類で保管される。既報の第122系統(子ども靴)のように市立漂着物資料館で一時展示される例もあるが、今回の2点については「刻みや結び方の意匠がまだ十分に解析できていない段階での公開は、誤った憶測を呼びやすい」として、当面は非公開の方針という。窓班の担当者は「灯しの街との類似が話題になっているだけに、写真が出回ればそれだけで断定的な受け取られ方をされかねない。今回は慎重に扱いたい」と話した。
■ 窓班「特定できないことも記録として意味がある」
窓班の鑑定官(氏名非公表)は本紙の取材に「『未特定』という結果自体、今後別の漂着物が出てきたときの比較材料になる。今回の2点も、いつか答え合わせができる日のために棚に並べておく」と話した。次元調査課によれば、第5窓は稼働から半年足らずで、既報の26日の87分開口を含め観測資料が急速に増えている状況にあり、窓漂着物の回収機会も今後増える見通しだという。
■ 記者の視点
「未特定」という一言で終わる鑑定結果は、記事にすると素っ気なく見える。だが、鑑定官の「いつか答え合わせができる日のために棚に並べておく」という言葉には、この面の仕事の本質が詰まっている気がした。分からないことを、分からないままきちんと記録しておくこと。それこそが、いつか窓の向こうと答え合わせをする日のための、いちばん地味で確実な仕事なのだろう。
