第三鑑定センター、保管棚の緊急点検完了 新たに1点の所在不明判明
第三鑑定センターは15日、既報(12日)の第64系統の革製小袋の流出を受けて実施していた保管棚全体の緊急点検を終え、新たに第90系統の木製の栓(せん)1点の所在が確認できないと発表した。流出の時期・経路は依然不明で、センターは内部調査を継続している。
■ 全棚点検、1週間足らずで完了
第三鑑定センターは12日の発表時点で、他の保管棚についても「今週中に抜き取り調査を実施する」としていた。センターは15日、全保管棚(登録品約4,200点)の点検を完了したと発表し、既報の第64系統の革製小袋に加え、2008年登録の第90系統の木製の栓1点についても、棚の記録と現物が一致しないことが新たに判明したと明らかにした。センター担当者は「2点とも、記録上は『保管中』のまま棚に残っているはずだった。点検の過程で初めて現物が無いことに気づいた」と説明した。
■ 「価値の低い品」ではない
第90系統の木製の栓は、外見は飾りのない小さな瓶の蓋のような形状で、鑑定上の学術的価値は限定的とされてきた品だった。予備調査協会会長・露木要は本紙の取材に「見た目の派手さと、無くなったときの重みは別の話だ。価値が低いとされてきた品だからこそ、点検の目が行き届きにくかったのではないか」と指摘する。センターは「品の学術的な評価の高低にかかわらず、登録された漂着物は国庫帰属の対象であり、所在不明はそれ自体が重大な事案だ」と述べた。
■ 流出経路、依然つかめず
センターは、第64系統の革製小袋の流出時期について「2019年の登録以降のいつかとしか言えない」としていたが、第90系統の栓についても同様に、2008年の登録以降の具体的な時期は特定できていないという。センター内部の調査チームは、過去の棚の入出庫記録、担当職員の異動記録、警備記録の照合を進めているが、15日時点で「特定の人物や時期を指し示す材料は出ていない」としている。
■ 儀礼団体連合、改めて国庫帰属見直しを提言
既報(9月)の儀礼団体連合による国庫帰属見直しの提言は、今回の点検結果を受けて改めて取り上げられる見通し。連合の関係者は「価値の高低で管理の厚みを変えてきた結果が、今回のような形で表れたのではないか。すべての漂着物を同じ重みで扱う制度に改めるべきだ」とコメントした。センターは「指摘は受け止めるが、約4,200点すべてを同じ水準で警備・管理するには、予算と人員の双方で大きな見直しが必要になる」と述べ、慎重な検討を続けるとしている。
■ 職員「棚の数え方そのものを見直すべきでは」
センターの点検に加わった職員の一人は、取材に匿名で応じ「棚の記録は、入れたときと出したときを記録する仕組みで、置いたままの期間を定期的に数え直す決まりが無かった。今回のように、何年も動かしていない棚ほど、見落としの余地が大きかったのだと思う」と話した。センターはこの指摘について「点検の仕組み自体に改善の余地があったことは否定しない」と認めた。
■ 他の保管棚も継続監視へ
センターは、今回の点検で他に異常は確認されなかったとしつつ、「一度見つかった以上、二度目が無いとは言えない」として、今後は定期点検の頻度を増やす方針を示した。流出の全容、第64系統・第90系統2点がどこへ、どのように持ち出されたのかは、依然分かっていない。



