枝川の排除措置、1カ月超 餌は今も消え、正体は依然つかめず
枝川の資材置き場で夜間作業員2人が負傷した事案を受け、TDA生物管理課と警察が8月30日から続けている夜間の排除措置は、5日で1カ月を超えた。封鎖区域は既報の約600メートルから約350メートルに縮小されたが、誘引餌が一夜で減る現象はその後も3回確認されており、対象の姿は映像にも熱源探知にも一度も記録されていない。長期化する封鎖の下で、現場近くで営業を続ける店主への取材を交えて現状を報告する。
■ 縮小された封鎖、消えない餌
既報のとおり、枝川の資材置き場で8月30日夜、夜間作業中の男性2人が負傷した事案を受け、TDA生物管理課は警察と合同で夜間の排除措置を開始した。当初は約600メートルにわたって運河沿いを封鎖していたが、9月中旬以降、新たな被害が確認されていないことから、10月に入って封鎖区域は約350メートルに縮小された。一方で、捕獲用の誘引餌が一夜で減る現象は、9月2日の発表以降も3回確認されている。同課は「対象が依然この範囲にいる可能性を踏まえ、封鎖を完全に解くには至らない」としている。
■ 新型センサーも手がかりなし
同課は9月下旬、映像記録に加えて熱源を検知する新型のセンサーを追加で設置した。10月1日深夜、このセンサーが一度だけ反応したが、同時刻の映像には何も記録されておらず、担当者は「機器の誤作動か、映像に写らない何かが通過したのか、現時点では判別できない」と説明した。重量センサーによる餌の減り方には、これまでと同様の規則性は見られないという。対象の種類、大きさ、行動のいずれも特定されないまま、調査は1カ月を超えて続いている。
■ 「お客さんが半分になった」
封鎖区域の端から50メートルほどの場所で小さな食堂を営む鵜木伝治氏(63)は「最初の2週間は仕方ないと思っていたが、1カ月を超えると正直こたえる。夜の客が半分になった」と話す。店は封鎖範囲の外にあるため営業は続けられているが、近隣住民の間には「暗くなってから外を歩きたくない」という声が広がり、客足そのものが鈍っているという。鵜木氏は「何がいるのか分からないまま1カ月以上というのは、怖いというより、落ち着かない。せめて『いない』と言ってくれれば楽なんだが、それも言えないのが今の状況なんだろう」と語った。
■ 学校側の対応も続く
既報のとおり、封鎖端から約600メートルの都立枝川高校など2校には、区教育委員会から部活動の下校時刻を繰り上げる通知が出されていた。封鎖区域の縮小に伴い、通知は10月1日付で解除されたが、同校の壁上競走部顧問は「解除されたとはいえ、まだ落ち着かない空気はある。部員には引き続き、暗くなってからの単独行動は避けるよう伝えている」と話した。学生壁上競走の秋予選は既報のとおり決勝に向けて進んでおり、枝川高自体は初戦で敗退しているが、部員たちは他校の応援に通う際の帰路についても気を配っているという。
■ 事務的な対応が続く
TDA生物管理課は、今回の事案について「重傷」「封鎖」という行政用語以外の表現を公の発表で使っていない。負傷した作業員2人の経過については「順調に回復している」とのみ説明があり、対象の正体に関する推測も一切示していない。同課は「分かっていないことを分かっていないと言い続けるのが基本方針だ。期間の長さだけで判断を急ぐことはしない」とし、封鎖の全面解除の見通しは「現時点では示せない」としている。


