学生壁上競走「壁慣らし」に62校中56校500人 初出場校が公開練習
学生壁上競走の秋予選を控え、学生連盟は3日、初出場62校を対象にした公開練習「壁慣らし」を亀戸第二壁面で開いた。参加は56校、約500人。3段目までの試登と複数経路での降り方確認にとどめ、経験校は対象外とした。プロリーグは東亰RCが勝点44で首位を守っており、第20節は4日夜、敵地・尾張の堀川壁面で行われる。
■3段目までの「まず、降り方」
学生連盟が公開練習を設けたのは、9月5日開幕の秋予選を前に、初めて壁面に立つ生徒に最低限の感覚をつかませるためだ。今季の参加校は187校で、うち初出場は62校。連盟にとっても、これほどの規模で安全講習を義務化するのは初めてという。
内容は登りより降りに重きが置かれた。試登は3段目までとし、上位段への挑戦は審判員が止めた。連盟の担当者は「初出場校がまず覚えるべきは、上まで行くことじゃない。止まり方と、降り方です」と説明する。複数の経路で降りる手順を繰り返し確認させ、命綱の二重確認と、濡れた壁面では「登らない判断」を徹底させた。滑落は数件あったが、いずれも命綱で止まり、けが人はいなかった。
■都立枝川高、夜間規制の壁で
初出場62校のうち、都立枝川高校は部員9人、創部2年という小所帯だ。練習場は旧東雲水門の壁面で、本番の壁より低く狭い。近隣の夜間規制の影響で、部の練習は日没前に切り上げざるを得ないという事情もある。顧問は競技経験のない41歳の数学教師。「うちは練習量で他校に劣るのは分かっている。だからこそ、今日みたいに広い壁で、正しい降り方を体で覚える機会は貴重でした」と話した。
部員の一人(16)は「初めて広い壁に立って、下を見たら足がすくんだ。でも、降り方さえ分かっていれば怖くない、というのが今日の一番の収穫でした」と振り返る。枝川高は5日の秋予選初戦で、昨秋準優勝の強豪・私立豊洲工業と対戦する。
対戦相手となる豊洲工業の主将(17)は「枝川さんの名前は今季、あちこちで聞くようになった。小所帯だからと侮る空気は、うちの部にはない」と話した。豊洲工業は昨秋準優勝の経験を持つが、初戦の相手が小規模校であることに慢心はないという。
連盟が安全講習を義務化した背景には、近年、壁面での軽微な滑落やニアミスの報告が増えていたことがある。担当者は「大きな事故が起きてから動くのではなく、起きる前に手当てをしたかった」と説明する。
■プロは4日、乾いた壁へ
プロリーグは第19節を終え、東亰RCが勝点44で首位、浪速WCが38で2位につけている。第20節は4日夜、敵地・尾張の本拠地である堀川壁面で行われる。堀川壁面は日照時間の長さから「乾いた壁」として知られ、尾張は今季、本拠地でまだ黒星がない。首位攻防とはならないが、東亰RCにとっては今季屈指の難敵地での一戦になる。尾張のコーチは「うちが本拠地で負けていないのは、壁の特性を熟知しているからというより、そこに頼りすぎないようにしてきたからだ」と話し、格上との一戦を前に淡々とした姿勢を崩さなかった。
学生連盟の秋予選は、5日の開幕戦から11月の決勝(亀戸第二壁面)まで続く。「壁慣らし」に参加した500人のうち何人が予選を勝ち上がるかは分からないが、連盟の担当者は「今日、降り方を覚えた子たちが、来月には登る側に回っている。それでいい」と話した。

