大潮割増、保険料1.5〜1.8倍に 記念日週と重なり批判、問い合わせ40件超
そなえ屋損害保険など予報連動型の損害保険各社は2日、9月5〜7日の大潮に伴う週間予報「中〜警戒」を受け、湾岸沿岸部の日割り保険料を平常時の1.5〜1.8倍とする料率を公表した。7日の漂着記念日と重なることから「記念日週の割増」との批判が出ており、市消費生活センターには2日間で40件を超える問い合わせが寄せられた。
■予報連動、暦とぶつかった初めて
予報連動型の損害保険は、透過指数が高い日ほど保険料が上がる仕組みで、新規契約の6割超を占めるまでに普及している。今回の料率は、TDA予報課が発表した大潮集中観測期間(9月5〜7日)の週間予報「中〜警戒」を根拠にしたものだ。湾岸沿岸部の日割り保険料は各社とも平常時の1.5倍から1.8倍に設定され、期間は5日から7日までの3日間となる。
問題は、この3日間の最終日が、漂着記念日と重なっていることだ。予報連動型保険が暦の行事と正面から衝突した初めての事例として、消費者庁研究会でも論点に挙がる見通しになっている。
■「暦には連動していません」
湾岸の商店主からは「記念日の週にわざわざ上げるとは思わなかった」との声が上がる。市消費生活センターには2日間で40件を超える問い合わせがあり、大半が「記念日への配慮はないのか」という趣旨だったという。
そなえ屋損保の広報担当者は「料率は予報に連動しています。暦には連動していません」と繰り返した。「大潮の予報が中〜警戒でなければ、7日が何の日であっても料率は動きません。今回はたまたま日程が重なっただけです」。担当者は、意図的な便乗値上げではないと強調したが、批判の勢いは収まっていない。
割増は保険に限らない。湾岸のタクシー会社「汐風交通」は8月下旬から、指数警戒日の午後10時以降、湾岸配車に2割の割増運賃を導入しており、「避難の足元を見るのか」との批判が先行して出ていた。指数連動という同じ発想が、業種を超えて生活コストに影響し始めている構図が、今回の一件で改めて浮き彫りになった形だ。
漂着記念日の式典に一世の祖母を送り出す予定だという女性(46)は「保険料のことは知らなかった。うちは式典には行かないが、割増を知ったら、行きたくても迷う家はあると思う」と話した。
■消費者庁、研究会を9月中に設置
消費者庁は9月中に、指数連動価格の表示・説明ルールを検討する有識者研究会を設置する方針を既に固めている。論点には、値上げの事前表示、根拠となる予報の明示、割増の上限の要否が挙がっているが、今回の一件は「料率の動きが暦の行事と衝突した」初の具体例として、研究会の議論に加わる公算が大きい。
予報連動型保険は3年前の発売から急拡大し、新規契約の6割超を占めるまでに普及した。発売当初の2年間は湾岸部の指数が歴史的な低水準で推移し、割安感が普及を後押ししたことは、金融庁もすでに認めている経緯がある。今回の大潮割増は、その「安さ」の裏返しとして、契約者が初めて実感する大幅な上振れとなった。
湾岸で保険代理店を営む男性(52)は「予報連動そのものは理にかなった仕組みだと思う。ただ、記念日の意味を知っている人間からすると、説明の仕方はもう少し考えてほしかった」と話す。TDA予報課の担当者は「7日が記念日と重なったのは、暦の偶然です」と改めて述べるにとどめた。大潮集中観測の結果自体は、来月以降に公表される見通し。

