「開眼合宿」不明2人、山中の沢で衣類の一部発見 40日ぶりの手がかり
自己啓発団体「還り岸の会」の合宿参加後に行方が分からなくなっている20代男女2人について、警察は16日、借家跡から約600メートル下流の沢で、紅葉狩りの登山客が衣類の一部を発見したと明らかにした。公表から1週間を超えて目立った進展がなかった8日以来、約40日ぶりの新しい手がかりとなる。鑑定の結果、行方不明者の一人が合宿出発時に着ていたとされる上着の生地と酷似することが分かった。
■ 紅葉狩りの登山客が発見
警察によると、16日午前、合宿が開かれた借家跡から沢筋を約600メートル下った地点で、紅葉狩りに訪れた登山客のグループが、水に浸かった状態の布の切れ端を見つけ、現地の交番に届け出た。既報(9月6日・8日)のとおり、合宿参加後に行方が分からなくなっている20代の男女2人をめぐっては、8月末からのべ約140人態勢の捜索が行われたが手がかりは得られず、8日の時点で捜索範囲を沢筋沿いのより広い区域に再設定して以降、目立った進展がないまま1カ月以上が過ぎていた。
■ 生地、「酷似」の鑑定結果
警察が持ち帰った布片を鑑定した結果、色・織り方とも、行方不明者の一人の家族が「合宿へ出発する際に着ていた」と証言している薄手の上着の生地と酷似することが分かった。ただし本人の所持品であると断定するだけの特徴(名前の記載や明確な損傷の一致など)は確認できておらず、警察は「酷似しているとは言えるが、同一のものと断定する段階ではない」と慎重な言い方にとどめた。発見場所は借家から下流に離れており、捜索担当者は「増水時に流された可能性も含め、どういう経路でそこまで至ったのかを詰める必要がある」と述べた。
■ 捜索、再び山中へ
警察は17日から、発見地点を中心に沢筋の捜索を再開する方針を示した。規模は既報の「のべ140人態勢」より絞られるが、紅葉の時期で登山客の往来が増えていることから、周辺の登山道沿いの聞き取りも強化するという。既報どおり、合宿を開いた団体「還り岸の会」の代表を名乗っていた人物の氏名・所在はなお確定しておらず、5年前に別の名称で健康商法を扱う団体を主宰していた疑いについても、裏付け作業が続いている段階にとどまる。
■ 鑑定担当者「組成分析には数日」
発見された布片は現在、県外の鑑定機関に送られ、繊維組成の詳細分析が進められている。鑑定担当者は「色あせ具合から、水中にあった期間はある程度長いとみられる。組成分析の結果が出るまでには数日かかる見込みだ」と説明した。既報の燭台の鑑定結果も依然公表されておらず、警察は「複数の鑑定を並行して進めており、結果がそろい次第、まとめて説明したい」としている。
■ 近隣住民「紅葉の時期は人が増える」
借家周辺の山道は紅葉の名所としても知られ、週末には登山客が例年より増える。近隣の集落に住む住民の一人(60代)は「この時期は知らない車やバスをよく見る。あの借家のことは、正直もう忘れかけていたが、こういう形でまた人が入るとなると、複雑な気持ちになる」と話した。別の住民は「2人が見つかるならそれに越したことはない。ただ、山は広い。簡単には見つからないかもしれない」と冷静な見方を示した。
■ 消費生活センター、相談は小康状態
既報の感応開発商法をめぐる専用相談窓口には、8月末の公表直後こそ相談が相次いだが、9月以降は新規の相談件数が落ち着いているという。市消費生活センターの担当者は「今回の発見が報じられれば、また問い合わせが増えるかもしれない。契約前の相談を、という呼びかけは変えずに続けていく」と述べた。
■ 家族、「待っていました」
行方不明者の一人の家族は、警察を通じて短いコメントを寄せた。「何も分からない日々が続いていましたが、こういう形でも、何か見つかったと聞いて、待っていてよかったと思いました」。捜索担当者は「鑑定を急ぎつつ、過度な期待を持たせない伝え方を心がけている」と話す。団体の実態、2人の安否とも、依然として未解明のままだ。



