「還り岸の会」代表、別団体でも活動歴 行方不明の2人、なお手がかりなし
自己啓発団体「還り岸の会」の代表を名乗っていた人物について、警察は8日までに、5年前に解散した別の団体で別の名前を使って活動していた記録を確認したと明らかにした。合宿参加後に行方が分からなくなっている20代男女2人の捜索は、公表から1週間を超えてなお手がかりが得られていない。
■別団体の名称、消費生活センターの過去記録と一致
警察は8日までに、「還り岸の会」代表を名乗っていた人物の写真を、5年前に消費生活相談が寄せられ解散した別の自己啓発団体の代表写真と照合し、同一人物である可能性が高いと判断したことを明らかにした。当時の団体は「透過感応の開眼」ではなく健康商法を扱っており、被害相談が数件あったものの立件には至らず、代表者は当時から別の通称を使っていたという。警察担当者は「名前を変え、扱う商材を変えながら、同種の活動を続けてきた疑いがある」と述べ、余罪の有無を含め慎重に確認を進めるとした。
当時の団体に関わっていたという元関係者(50代・匿名)は取材に対し、「顔は確かに似ている。ただ、当時はもっと物腰が柔らかく、今回のように合宿型で人を集めるやり方ではなかった」と証言した。この元関係者によると、当時の団体は数年で解散し、代表者は「体調を崩した」として表舞台から姿を消したという。警察はこの証言についても裏付け作業を進めているとした。
■借家の契約実態、なお未解明
既報のとおり、山中の借家の賃貸契約名義人は住民票の異動履歴が確認できず、実在が未確認のままとなっている。仲介した不動産業者も登録が失効しており、業者側への任意聴取は難航しているという。捜索を指揮する担当者は「名義と実態が一致しない契約が、なぜ通ってしまったのか。そこも含めて調べる必要がある」と話した。近隣住民によると、借家は2年ほど前から短期の合宿利用が増えていたといい、「月に1、2度、車が何台も止まっていた。挨拶を交わす程度で、詳しい活動内容は知らなかった」と話す住民もいる。
■捜索は継続、範囲を再設定
行方不明の20代男女2人の捜索は、既報ののべ約140人態勢から人数を絞りつつ、対象範囲を借家周辺から沢筋沿いのより広い区域へ再設定して継続されている。8日時点で新たな遺留品や目撃情報の報告はない。元会員(匿名・20代)による「昨年の合宿でも参加者1人が数日戻らなかった」との証言についても、裏付けとなる記録は見つかっていないという。捜索担当者は「証言そのものを軽視はしていないが、記録がない以上、現時点で公式な扱いはできない」と述べるにとどめた。
■市消費生活センター、相談窓口を継続
市消費生活センターは既報の感応開発商法の相談窓口を継続しており、8日までに今回の件に関連するとみられる相談が新たに6件寄せられたことを明らかにした。うち2件は、代表者とみられる人物の過去の別名義での活動を知っていたという内容だったという。センターの担当者は「同じ手口が形を変えて繰り返されている可能性がある。心当たりのある方は、ためらわず相談してほしい」と呼びかけた。
■家族の思い
行方不明になっている2人のうち1人の家族は、警察を通じて短いコメントを寄せた。「合宿に行くと聞いたときは、応援していました。もっと自分に自信を持てるようになりたい、とだけ聞いていました。今はただ、無事でいてほしいということしか考えられません」。捜索担当者は「情報が少ない中でも、家族には分かっている範囲を都度伝えるようにしている」と述べた。行方不明の2人の安否、団体の実態とも、決着はついていない。
