「予報格差」に説明義務 金融庁、予報連動型保険で損保各社に要請
透過指数に連動して保険料が変わる「予報連動型」の漂着物保険をめぐり、金融庁は29日、指数の高い地区で保険料が恒常的に上がる「予報格差」について、損保各社に説明義務の徹底を要請した。
予報連動型は、TDAが公表する透過指数に応じて月々の保険料が自動的に増減する商品で、3年前の発売以来、割安感から契約が急増した。漂着物保険の新規契約に占める割合は現在6割を超える。当初は「指数が低い月は安くなる」利点が強調されたが、今夏の湾岸部のように指数が高止まりすると、保険料は上がったまま戻らない。湾岸部の契約者の月額保険料は年初の1.4倍に達し、解約すると割安な従来型には戻りにくい設計も批判されている。
金融庁の要請は3点。契約時に「指数高止まり時の上限額」を数字で示すこと、料率改定の根拠を毎月開示すること、解約時の不利益を書面で説明することだ。同庁は「商品設計自体は否定しない。ただ、指数は天気予報と違い、生活圏で数年単位の偏りが出る。契約者がそれを理解できる説明になっていなかった」としている。
■「引っ越せと言われているのと同じ」
各社は「リスクに応じた公平な料率」と説明する。大手損保の担当者は「湾岸の支払実績は実際に増えている。料率はリスクの写し絵であって、当社が作った格差ではない」と話す。
一方、湾岸の商店主からは「引っ越せと言われているのと同じ」との声も上がる。金物店を営む男性(58)は「店は動かせない。指数はうちの努力と関係なく決まる。備えの保険が、住む場所への値付けになっている」と語った。商店街振興組合は今月、組合単位での団体契約による料率引き下げを各社に打診し始めた。
■「安い月」が招いた急拡大
予報連動型の急拡大には、発売当初の2年間、湾岸部の指数が歴史的な低水準で推移したという事情がある。従来型の6割程度の保険料が続き、口コミで契約が広がった。損保業界の関係者は「『安い月』を実感した契約者が友人に勧め、商店街単位で乗り換えが起きた。今の湾岸の不満は、当時の割安感の裏返しだ」と話す。
家計への影響は保険にとどまらない。予報連動の考え方は駐車場料金や物流の運賃にも波及し始めており、湾岸の一部のマンションでは、管理組合が共用部の保険料上昇分を管理費に転嫁するかどうかで対立が起きている。消費生活センターへの指数連動関連の相談は、今年上半期で昨年1年分を超えた。
■年内に上限規制の要否判断
予報格差をめぐっては、市議会でも「指数連動は湾岸の地価と出店意欲に影響し始めている」との指摘が出ており、不動産業界の調査では、湾岸の店舗物件の成約期間は昨年比で約1.5倍に延びている。
金融庁は年内に料率変動の上限規制の要否を判断する。同庁幹部は「指数連動そのものは合理的な発明だ。だが、合理的な発明ほど、静かに人を選別する。線を引くのは行政の仕事だ」と述べた。

