湾岸部の透過指数、今月14日目の「中」 TDA「季節変動の範囲を超える可能性」
湾岸部の透過指数が29日も「中」となり、今月14日目となった。平年の倍を超えるペースで、TDA予報課は「季節変動の範囲を超える可能性がある」と初めて言及した。
透過指数は、次元境界の「薄さ」を5段階で示すTDAの予報指標だ。「中」は5段階の3番目で、屋外行動の制限はないが、湾岸モノレールの徐行など一部の運用規制が発動される。8月の湾岸部で「中」以上となるのは平年6日前後。今年はまだ月を残して14日に達し、統計を取り始めた透暦31年以降で最多となった。
予報課によると、指数を押し上げているのは持続時間の長い弱い変動で、深川の中規模揺らぎ(21日)のような突発事象とは波形の性質が異なるという。臨時観測点2カ所を増設して監視を強化しており、そのデータでは指数の日内変動も例年より大きい。同課の主任予報官は「一つ一つは小さいが、下がりきらないまま次が来る。海面に例えるなら、大波ではなく、うねりが続いている状態」と説明する。
同課は「原因の特定には至っていない」としつつ、29日の定例会見で初めて「季節変動の範囲を超える可能性がある」と言及した。週明けに中間報告を出す方針で、9月の漂着記念日前後に湾岸で予定される屋外行事について、市と運用面の協議を始めたことも明らかにした。現時点で行事の中止を求める状況ではないという。
■「うねり」の中の暮らし
指数の高止まりは、湾岸の日常を静かに変えている。湾岸の小中学校では屋外プールの使用が制限され、水泳の授業は城東地区の屋内施設への振り替えが続く。夜間の物流は徐行規制でトラック便に切り替わり、幹線道路の夜の交通量は平時の1.3倍になった。市場関係者によると、湾岸の倉庫を避けて内陸の倉庫を借りる動きも出始めており、「指数疎開」という言葉が業界で使われ始めている。
一方で、指数と暮らしの距離感は世代で異なる。湾岸で生まれ育った大学生の男性(20)は「子どもの頃から『中』の日は普通にあった。予報を見て、洗濯物と同じ感覚で予定を決めるだけ」と話す。転入して2年の会社員の女性(35)は「最初の頃は『中』のたびに身構えていた。今は慣れたが、慣れていいものなのかは、いまだに分からない」と語った。
■沿線には「岸見物」、常連は遠のく
湾岸モノレールの徐行は1週間を超えた。深川—亀戸間の所要時間は通常の約1.7倍となり、朝の通勤帯では積み残しも出ている。沿線の商店街では、指数の高止まりを聞きつけて訪れる「岸見物」の客足はあるものの、「常連が来ない」とぼやきも聞かれた。青果店の店主は「見物の人は写真を撮って帰る。大根は買わない」と苦笑する。
一方、湾岸の気象・指数データを扱うアプリ「まど番」では、湾岸部の指数ページの閲覧が平時の4倍に達しているという。予報課は「関心が高まるのはよいことだが、指数は娯楽の指標ではない。『中』の日に規制線へ近づく行動は、指数がいくつであれ危険だ」と呼びかけている。


