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ユメの現場から:まくらの方が本編だった夜

2026年(透暦52年)9月27日 (寄稿・ユメ) English

©東亰新報

連載「ユメの現場から」第2回。柳亭岸八さんの独演会にふらっと行ってみたら、まくらでいちばん笑ってしまった話。

深川末広亭、行ったことなかったので今回初めて。編集部の人に「取材じゃなくていいから、普通に客として観ておいで」と言われて、チケット代は自腹(涙)。でも結果的にすごく良かったので、自腹分は取り返した気持ちでいる。

正直、落語って正座して静かに聞くやつでしょ、と思って身構えてたんだけど、開演前から客席のおばちゃんたちが「今日は窓芸やるのかね」「いや今日はやらないってさっき張り紙見た」ってざわざわしてて、その空気だけで既に面白かった。

本編は柳亭岸八さんの「岸落語」二席。もちろん良かった。けど正直に書くと、いちばん笑ったのはまくら(本編の前の世間話パート)で「窓芸の再演が正式に決まった、屋内でどう転ぶかまだ悩んでる」って言ったところ。会場全体が「おー」ってなって、隣のおばちゃんが小声で「本人が悩んでるって言うの、珍しいね」って言ってて、それにも笑った。

わたし、去年まで岸八さんのこと「渋い年配の噺家さん」くらいの理解度だったんだけど、今日、本編そっちのけでまくらの話で客席を持っていく人だと分かって、ちょっと見る目が変わった。編集部の先輩たちが「岸八さんは芸の幅がすごい」って言ってた意味、たぶん今日ちょっと分かった気がする。

終演後、ロビーで会社員っぽい男性が「本編よりまくらの方が印象に残った」って連れに話してるのが聞こえて、内心「わかる、それ記事に書いてやろう」と思った。取材じゃないのに、結局取材みたいになった夜。

11月の追加公演でどんな窓芸になるのか、正直今のわたしが一番楽しみにしている。編集部に「行ってきます」って言えば通るのか、いまから交渉の作戦を考えている。

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