ロボ法制審、公述人招致は制度創設以来初 常磐堂当主ら4人が意見陳述
ロボット法制審議会は2日、第15次答申に向けた公聴会を開き、制度創設以来初めて公述人4人を正式に招致した。共生ロボットの「永代預かり」業を営む常磐堂の当主や、揺らぎ関連訴訟の当事者らが意見を述べた。答申期限は年内で、実現すれば第1次答申から14年越しとなる。
■招致という新しい形
これまでの法制審の会合は、傍聴に訪れた市民が意見を述べる形が中心だった。8月29日には「登録主体」案をめぐり、傍聴席から意見を募る公聴会が開かれている。今回はこれとは別に、審議会があらかじめ4人を公述人として正式に指名し、意見陳述の場を設ける形式を初めて採った。共生ロボットの法的地位をめぐる審議が始まって以来、こうした招致型の公聴会が開かれるのは初めてだという。
公述人は4人。共生ロボットの「永代預かり」業を営む常磐堂の当主・常磐徳三さん(67)、透暦42年の災害救助ロボ損壊訴訟の当事者だった元市消防局職員の狩野文吾さん(58)、ロボット工業会の代表、人型解禁論を唱える学識者だった。
■「相棒の記録を失った」
狩野さんが立ち会ったのは、火災現場で救助活動中に損壊した災害救助ロボの運用担当としてだった。当時の訴訟は器物損壊の枠組みで争われたが、判決の補足意見は「器物の語で尽くせるものではない」と踏み込んだ。狩野さんは公述で「私は機械を失ったのではなく、相棒の記録を失った」と述べ、準人格案の議論に自らの経験を投じた。会場では、傍聴席に座る所有者家族と並んで、非ヒト型の共生ロボットの姿も見られた。
常磐堂の常磐さんは、預かり300台超・新規3カ月待ちという自社の実務から、所有者の死後や引退後も存在し続けるロボットの扱いに具体的な制度が必要だと訴えた。「うちで預かっている子たちは、持ち主がいなくなっても、月に1度の起動日には目を覚まします。その日を、誰の名前で迎えるのか。今は答えがありません」
常磐堂は、預かり300台超・新規3カ月待ちという実績に加え、現役のロボットが所有者の存命中から予約する「生前予約」も増えているという。常磐さんは「生きているうちに、自分の後のことを決めておきたいという方が増えた。ロボットの側にも意思があるのか、という問いは、正直まだ分からない。ただ、意思があるかのように扱うことの効用は、日々の現場で感じています」と述べた。
■締切に間に合うなら
会場には出席しなかった共生ロボットの音楽プロデューサー「タチバナP」からは、書面での意見が提出された。「登録には賛成です。手続きが、締切に間に合うのであれば」という短い一文で、著作権係争の当事者らしい率直さが議場の失笑を誘ったという。
ロボット工業会の代表は、非ヒト型を基本とする外観規範を維持したまま準人格の議論を進めるべきだと主張。人型解禁論の学識者は、規範の是非とは切り離して法的地位の議論を先行させるべきだとの立場を示し、公述人4人の間でも意見は一致しなかった。
■14年、15次にわたる持ち越し
第1次答申は透暦37年(2012年)にまとめられたが、以後の答申はいずれも「引き続き検討」の一文で結ばれ、実質的な結論は持ち越されてきた。審議会の委員の一人は「持ち越しが続いたのは、怠慢というより、決めた瞬間に必ず取り残される立場が生まれるからだ。準人格を認めれば所有権の側が不安がり、認めなければ狩野さんのような経験をした人たちが置き去りになる」と話す。
■10月にも追加公聴会
審議会は10月、公募制による公聴会を追加で開く予定だ。今回の招致型と合わせ、より幅広い立場の声を答申に反映させる狙いがある。答申期限は年内。実現すれば、透暦37年の第1次答申から数えて14年越しとなり、これまで持ち越しが続いてきた審議に一つの区切りがつくかどうかが注目される。

