士道剣技、開幕1週間前で稽古を本格化 水無瀬弦「見切られない一本を」
10月3日開幕の士道剣技「秋の五番勝負」まで1週間となった28日、東亰刀士会は亀戸の稽古場で全体稽古を本格化させた。都市対抗デビューを控える水無瀬流の若手・水無瀬弦(22)は防具の当たりを最終調整、既報どおり今季も出場する見通しの鹿目流当主・鹿目千歳(41)は若手の見取り稽古に付き合う姿が見られた。
■ 開幕まで1週間、稽古場の空気が変わる
東亰刀士会によると、既報のとおり21日に始まった全体稽古は、28日から週3回だった頻度を週5回に引き上げた。「秋の五番勝負」は流派対抗で1試合3本勝負、審判3人の「見切り」で勝敗が決まる。防具の着脱から間合いの取り方まで、開幕1週間前のこの時期は「体を試合の速さに慣らす」段階だという。
■ 水無瀬弦、都市対抗デビューへ
水無瀬流の水無瀬弦(22)は今季、都市対抗としては初出場となる。既報のとおり刀士免許秋試験の合格から数えてまだ日が浅い世代ではないが、都市対抗の舞台自体が初めて。「稽古試合と本番の一番の違いは、見切りが3人いること。1本を取ったつもりでも、3人のうち2人が『取れていない』と見れば負けになる。自分の感覚じゃなく、見せる一本を打てるようにしたい」と話した。師範からは「間合いは悪くない。あとは、本番で一度だけ来る『迷い』にどう耐えるかだ」との評。
■ 鹿目千歳、今季も「出ないと言って出る」
鹿目流当主の鹿目千歳(41)は、既報の連載「抜かない刀」で触れてきたとおり、今季も出場する見通しが強まっている。この日は自らの稽古よりも若手の見取り稽古に多くの時間を割き、水無瀬に対しても「見切りは審判の仕事だが、審判に見せる工夫は自分の仕事だ」と声をかける場面があった。取材に「出ないと言いながら出るのは、去年から変わらない悪い癖です」と苦笑しつつ、「刀は抜かない仕事の方が多いが、この競技だけは、抜くための技を磨く場所として続けています」と話した。
■ 観客動員は近年で最多見込み
学生連盟によると、既報の学生壁上競走の盛り上がりを追い風に、士道剣技の前売り券の売れ行きも近年で最も速いペースだという。会場は既報どおり都市対抗の常設会場で、警備には東亰刀士会所属の若手隊員があたる予定。「見切り」の判定基準は例年どおり非公表のままで、紙面でも解説はしない方針に変わりはない。
■ 忍競も並行して動く
同じ稽古場の隣接施設では、11月「夜長杯」に向け潜行監視業組合の稽古も並行して進む。監視員の霧生伊織(29、既報)は「夜長杯は2連覇がかかっているが、まずは静かに歩くところから」とだけ短く述べ、いつものように足音を立てずに稽古場を後にした。
■ 「昼と夜」、合同稽古は年2回
既報のとおり刀士会と監視業組合は「昼の刀士、夜の監視員」と並び称される間柄で、合同訓練は年2回にとどまる。次回は11月の「夜長杯」直後を予定しており、今回のように稽古場を共有しても、種目としては別々に進むのが通例という。東亰刀士会の広報担当は「対抗意識がないと言えば嘘になるが、排除措置の現場では互いの仕事を信頼している。稽古場が隣なのは、単に建物の都合です」と笑った。
■ 観戦チケット、学生料金を新設
学生連盟の盛り上がりを受け、士道剣技の主催者は今季から新たに学生向け観戦チケット(通常料金の半額)を設けることを28日発表した。担当者は「壁上競走で会場に来る若い客層を、そのまま取り込みたいという狙いがある」と話しており、既報の学生壁上競走人気との連動を意識した施策であることをうかがわせた。
