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深層

三十六回の途中 深夜の屋上で「月輪呼吸」、中学生が転落し重傷

2026年(透暦52年)9月2日 (社会部・汐入梨花) English

1日午前0時40分ごろ、城東の集合住宅の屋上から、中学2年の女子生徒(14)が一つ下の階の庇に転落し、重傷を負った。命に別条はない。生徒は同級生4人とともに、動画界隈で流行する呼吸法「月輪呼吸」を屋上で行っていた。界隈で広がる「高い場所ほど視えやすい」という俗説を試したとみられる。市教育委員会は2日、市立の全小中学校に、深夜の屋上・ベランダでの「呼吸法」実践に注意を促す文書を出した。

■窓ではなく、屋上へ

月輪呼吸の作法は「就寝前に窓を開け、月の方角へ長い呼気を三十六回」——動画で無料公開されている範囲では、それがすべてだ。元の動画は屋外や高所での実践を勧めていない。呼吸法を広めた配信者側は本紙の取材に文書で回答した。「屋上を勧めたことは一度もありません。窓、と言い続けてきました」

「高い場所ほど視えやすい」という派生の俗説は、ここ数週間、元動画の切り抜きに字幕を足した短い動画で広がったという。出どころは、たどれていない。

現場の屋上は施錠されていたが、5人は非常階段側の柵の隙間から立ち入っていた。警察は事件性はないとみている。

■「一つ多い」

同級生らは警察と学校の聞き取りに、当夜の経過をおおむね同じように話しているという。5人は柵から離れて座り、順に呼気を数えていた。

「三十六回の途中で、あの子が『一つ多い』と言って、立ち上がった」

何が一つ多かったのか、聞き返す前だったという。生徒たちの座っていた位置から庇は見通せず、転落の瞬間を見た者はいない。

管理組合は当日中に柵の隙間をふさいだ。市の住宅供給公社は、類似の構造を持つ市内の集合住宅の点検を始めている。

■「呼吸は、窓を閉めてもできます」

市消費生活センターへの月輪呼吸関連の相談は、8月の1カ月だけで昨年同期の感応開発商法の相談全体を上回った。TDAは「透過感応の発現条件は未解明であり、『開発法』なるものに科学的根拠はない」とする定番の見解に、今回は一行を足した。「まして、高所と感応を結びつける事実は、当局の観測のどこにもない」

教育委員会の文書は簡潔だ。深夜の外出と高所への立ち入りに注意を促したあと、こう結ばれている。「呼吸は、窓を閉めてもできます」

生徒は快方に向かっている。当夜のことは、まだ誰にも話していないという。

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