速報湾岸部の透過指数、今夜も「中」続く TDAが週明けに中間報告へ
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湾岸倉庫街で警備員が襲われ重傷 未確認の大型漂着種か、TDAが初の夜間排除措置

2026年(透暦52年)8月30日 (社会部・真柴湊) English

封鎖された倉庫街でコンテナの列を捜索するTDA生物管理課と警察の合同部隊=30日午前4時50分、東亰・湾岸3丁目©東亰新報

30日午前2時ごろ、湾岸部の倉庫街で巡回中の警備員(52)が何者かに襲われ、腕と背中に重傷を負った。現場に残された痕跡から、TDA生物管理課は体長2メートル超の未確認の漂着種による被害とみて、警察と合同の夜間排除措置に踏み切った。同課が夜間の排除措置を実施するのは初めて。

警備会社によると、警備員は午前1時50分に詰め所を出て、単独でコンテナヤードの巡回に入った。無線の定時連絡が途絶えたのは午前2時4分。同僚が駆けつけたとき、警備員はコンテナの列の間で倒れており、持っていた懐中電灯は約20メートル離れた場所で、点いたまま転がっていたという。

警備員は「暗がりから引き倒された。姿は見ていない。息の音だけ聞いた」と話しているという。命に別条はなく、市内の病院で手当てを受けている。現場のコンテナ側面には、地上約1.8メートルの高さに爪痕状の損傷が4条残されており、生物管理課は「既知の特定漂着種のどれとも一致しない。付着物の分析を急いでいる」とした。

■初の夜間排除措置

生物管理課と警察は同日午前3時20分、倉庫街一帯約40ヘクタールを封鎖し、夜間排除措置を開始した。排除措置は通常、対象の視認性が確保できる日中に限って実施される。夜間の実施は運用規程の「人身被害が現に発生し、対象の移動により被害拡大の恐れがある場合」を初めて適用したもので、隊員約60人が熱源探知装置を用いてコンテナの列を一区画ずつ確認している。

30日夜までに個体の発見には至っていない。同課は「熱源反応が2度あったが、いずれも野良猫だった。個体が倉庫街の外へ移動した可能性も含めて捜索範囲を再設定する」と説明した。今月の透過指数の高止まりとの関連については「現時点では何とも言えない」としている。

倉庫街と隣接する住宅地の境界には照明車が配置され、夜間の立ち入りは当面禁止される。市は倉庫街で夜間勤務がある事業者に対し、当面の間、単独巡回を取りやめ2人以上での行動を要請した。

■排除措置とは

排除措置は、危険性が確認された特定漂着種に対してTDA生物管理課と警察が合同で行う対応の行政用語だ。透暦40年の制度化以降、実施は今回で38件目。過去37件のうち34件は捕獲で終了し、対象はいずれも亀戸の収容施設に移送されている。日中実施が原則とされてきたのは、視認性のほか、「対象を夜間に追うことは、追う側と追われる側の双方を危険にする」(運用規程の解説)ためだ。

今回の夜間実施について、元生物管理課長は本紙の取材に「規程の適用自体は妥当だ。人身被害が出ている以上、夜を待つ選択肢はない」とした上で、「ただし夜の排除措置は、隊員の恐怖との戦いでもある。見えない相手を探す時間が長引くほど、現場の判断は硬くなる。長期化させないことがすべてだ」と指摘した。

■「虫の声が消える場所がある」

倉庫街で20年働くという男性は「夜の見回りで、コンテナの列の奥だけ虫の声が消える場所がある。先週からだ」と話した。運送会社の配車係の女性は「ドライバーの間では、C区画の奥に夜は入るなという話が、もう10日ほど前から回っていた。理由は誰も言わない。ただ、入らない」と語る。生物管理課はこうした聞き取りを「貴重な観測情報」として集めており、封鎖線脇に臨時の聞き取り窓口を設けた。初日だけで31件の情報が寄せられたという。

寄せられた情報の中には、今回の被害より前の日付で「コンテナの上を何かが移動する音を聞いた」とするものが複数含まれる。同課は時系列を整理し、個体の行動範囲の推定を進めている。

■封鎖の外側の夜

封鎖初日の夜、倉庫街に隣接する住宅地では、ほとんどの家が雨戸を閉めた。町内会は自主的な見回りを検討したが、生物管理課の要請で取りやめ、代わりに各戸の外灯を朝まで点けることを申し合わせた。通りに面した弁当店は、封鎖線で夜通し立つ隊員向けに営業時間を延ばし、店頭に「温め直しは何度でも」と貼り紙を出した。

小学生の子を持つ母親(38)は「怖いかと聞かれれば怖い。ただ、子どもには『危ない生き物が来たから、大人が保護しに行っている』と説明した。『退治』と言わなかったのは、あの子が図鑑で漂着種のページばかり読んでいる子だからです」と話した。

31日朝の記者会見では、殺処分の可能性を問う質問が繰り返された。生物管理課長は「規程の通りです」と答えたあと、少し間を置いてこう続けた。「38回の排除措置で、この課は34回、誰も——どちら側も——失わずに終えている。35回目もそうするために、時間をかけています」

■「向こうも、来たくて来たわけではない」

排除措置は捕獲を優先し、殺処分は「人命への現実的な危険がある場合」に限られる。捕獲された漂着種は生態評価を経て、亀戸の収容施設で保護されるのが原則だ。

負傷した警備員は病院で、会社を通じてこう伝えてきたという。「30年この仕事をして、初めて怖いと思った。ただ、あれを追い詰めすぎないでほしいとも思う。あの息の音は、怒っているというより、困っている音だった」

生物管理課の担当者は取材の最後に、こう付け加えた。「向こうも、来たくて来たわけではないので」

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