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回送最終便のあとに、傘 湾岸モノレール、台帳に載らない忘れ物3件

2026年(透暦52年)9月3日 (経済部・甲斐谷連) English

湾岸モノレールの車庫で8月下旬以降、回送最終便の終業点検の際に、持ち込みの経緯を確認できない傘が3回にわたり見つかっていたことが3日、分かった。いずれも左窓側の座席の下にあり、乗務記録・忘れ物台帳・車内カメラのいずれとも突合できないという。同社は「台帳管理の不備」として内部処理し公表していなかったが、乗務員組合の安全報告で明らかになった。回送最終便が2人乗務に変更(既報)された後も1件が確認されている。

■点検の手順に、抜けはなかった

同社の説明によると、最終の営業便の車内点検で忘れ物を回収した後、車両は回送されて車庫に入り、終業点検を受ける。傘が見つかったのはこの終業点検の段階で、8月24日、28日、9月1日の3回。営業便の点検記録には「忘れ物なし」とあり、車内カメラの映像でも該当車両への持ち込みは確認できなかった。

「点検の手順そのものに抜けは見つかっていません」と同社の担当者は言う。「考えられるのは、点検時の見落としと、記録の不備です。それ以外の説明を、当社は持ち合わせていません」

傘は3本とも、ありふれた紺色の長傘だという。遺失物として警察に届けられ、規定の3カ月間保管される。持ち主は現れていない。

■「濡れていないんです」

安全報告を上げた乗務員組合の担当者は、報告の趣旨を「怪談ではなく、記録の話です」と強調する。「記録と現物が合わない事象が3回続いた。理由が何であれ、記録が現実に負けている状態は、安全上そのままにできません」

一方、点検に当たった乗務員の一人は、匿名を条件に付け加えた。「傘は、濡れていないんです。この夏、夕立の日でもです。乾いた傘が、雨の夜に増えている。それだけのことなんですが、それが妙に、頭から離れません」

同路線の深川—亀戸間には、開業3年目の社内報に「左窓側の傘」の記載が残ることが知られている(既報)。同社は「半世紀前の社内報と今回の件を結びつける材料はない」としている。

■照明の増設だけが決まった

組合は再発防止策として、車庫の点検線への照明増設と、終業点検の記録様式の見直しを申し入れ、会社側は受け入れた。8月20日から始まった回送最終便の2人乗務(既報)は継続される。

TDAには同社から事実関係の報告が上がっているが、「当該時間帯・当該区間に対応する観測事象はなく、周辺の透過指数も平常値」との回答だった。警察も「事件性をうかがわせる事情はない」としている。

つまり、どの役所の棚にも、この傘の置き場所はない。会社は「安全運行への影響はない」と繰り返し、9月の点検からは新しい様式の記録用紙が使われている。用紙には、回収した物品の欄の隣に、新しく小さな欄が一つ増えた。「回収できなかった物品」。

その欄は今のところ、空白のままだという。

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