岸渡りの二世立会人、正式化を決定 市と儀礼団体連合、来春の合同成人式へ実施要領
東亰市と漂着系儀礼団体連合は28日、岸渡りの立会人について、これまで「代理」扱いだった二世立会いを正式な選択肢として名簿に明記することで正式合意したと発表した。既報(9月9日)の調整が実り、来春試行の合同成人式に向けた実施要領の骨子がまとまった。一世立会人の高齢化を踏まえた措置で、鵜飼素子市長は「数字を見てから騒ぎましょう、が口癖の私にしては珍しく、数字が出る前に動いた案件です」と述べた。
■ 「代理」から「正式な選択肢」へ
岸渡りは漂着系市民の成人儀礼で、伝統的には一世の立会いを要件としてきた。しかし一世約480人のうち、体力面で立会が可能なのは既報のとおり百数十人にとどまる。市と儀礼団体連合は9月9日以来、二世立会人を名簿に明記する方向で調整を続けてきたが、28日、正式に合意した。これまで一世が体調不良などで立会えない場合に限り「代理」として扱われてきた二世立会いが、以後は名簿上、一世と並ぶ正式な選択肢になる。
■ 実施要領の骨子
発表された骨子案によると、二世立会人になるには(1)儀礼団体連合の認定講習の受講(2)一世立会人1人以上からの推薦、の2条件を満たす必要がある。認定講習は10月中に第1回を実施予定で、定員は30人。市の担当課長は「一世の経験をそのまま引き継ぐことはできないが、儀礼の型と心構えは講習で伝えられる」と説明した。三世以降の立会いについては「まだ議論の段階にない」として、今回の要領には含まれていない。
■ 鵜飼市長「現実路線の延長」
鵜飼素子市長は会見で「合同成人式の試行そのものが現実路線の一歩だった。立会人の高齢化という数字が動かしがたい以上、制度の方を現実に合わせるのが筋だと判断した」と述べた。既報どおり合同成人式は来春の試行が決まっており、今回の岸渡り実施要領はその重要な構成要素となる。
■ 儀礼団体連合、賛否は残る
儀礼団体連合の代表は「一世の経験は何物にも代えがたいという声は連合内にも強くある。だからこそ、正式化と同時に、一世立会人へのお願いを減らしすぎない運用にした」と話した。既報の「岸辺の人々」連載でも触れられてきたとおり、当事者である一世立会人の間でも受け止めは分かれている。
■ 一世立会人「複雑だが、必要だと思う」
四十年近く岸渡りの立会人を務めてきた一世の男性は、取材に「自分が最後まで立てるとは限らない、という現実は前から分かっていた。複雑な気持ちはあるが、二世が正式に引き継げる道ができたことには安心もしている」と話した。連合は今後、認定講習の受講者を対象にした座談会も企画しているという。
■ 認定講習の中身、儀礼の「型」をどう伝えるか
市の担当課長によると、認定講習では儀礼の所作(袖の扱い、砂浜を渡る歩幅、立ち会う際の言葉)を一世の立会人が二世に直接指導する形式を軸にする。座学は最小限にとどめ、実技に多くの時間を割く方針という。「言葉で説明しきれない部分こそ、講習の核心になる」と担当課長は話した。認定を受けた二世立会人には、儀礼団体連合が発行する認定証が交付されるが、既報の一世立会人のような名簿上の生涯登録ではなく、5年ごとの更新制とすることも今回あわせて決まった。
■ 費用・日程の詳細は10月に公表
講習の受講料や具体的な日程については、10月の第1回開催に合わせて別途公表される予定。市は「経済的な理由で受講をあきらめる人が出ないよう、受講料は実費相当に抑える」と説明しており、詳細な金額は現在調整中という。
