速報
← トップへ戻る

社会

岸渡りの立会人、二世の正式化へ調整 市、来春の合同成人式に向け

2026年(透暦52年)9月9日 (社会部・汐入梨花) English

©東亰新報

市は9日、漂着系の成人儀礼「岸渡り」の立会人をめぐり、これまで「代理」扱いだった二世立会いを正式な選択肢として名簿に明記する方向で儀礼団体連合と調整に入ったことを明らかにした。一世立会人の高齢化を踏まえた措置で、来春の合同成人式への導入をめざす。

■「代理」から正式な選択肢へ

既報のとおり、岸渡りの立会人は一世か二世が務めることになっているが、慣行では一世の立会が本義とされ、地区によっては二世の立会を「代理」扱いにしてきた。市民協働課は9日、9月2日から儀礼団体連合と協議を続けてきた「立会人名簿(仮称)」制度について、二世立会いを地区を問わない正式な選択肢として名簿上に明記する方向で調整に入ったと明らかにした。担当課長は「代理という言葉自体が、二世の立会人を務めてきた方々に負担をかけてきた面がある。実態に制度を合わせる時期に来ている」と説明した。

■一世480人、立会可能は百数十人

既報のとおり市内の一世は約480人で、体力面で立会が可能な人はそのうち百数十人にとどまるとされる。市民協働課によると、この数字は今回の調整方針の主要な根拠の一つだという。担当課長は「一世の方々に無理を強いてまで本義にこだわれば、儀礼そのものが立ち行かなくなる地区が出てくる。守るべきは形式より、岸渡りを続けられることだと考えている」と述べた。市内の登録儀礼団体は既報のとおり9団体あり、地区ごとに立会人の頼み方や作法が異なるため、名簿制度は地区を越えた仲介の仕組みとしても機能させる考えだ。

■連合「本義は揺るがせない」

儀礼団体連合は今回の方向性について、慎重ながら受け入れる姿勢を示している。連合幹部は「一世の立会が本義であることは揺るがせない。ただ、二世立会いを正式に位置づけることで、無理をして体調を崩す一世の方が出る事態は避けられる」と話した。一方で、一部の地区の団体からは「代理という言葉には、いずれ一世が立ち会えなくなったときのための備えという意味もあった。正式化することで、その備えの意識が薄れないか」と懸念する声もあるという。連合は今後、地区ごとの意見集約を進めたうえで、市側の案に正式に回答する方針。既報の「反対はします。でも、間に合わなくなる方が、もっと駄目なんです」という連合側の発言は、今回の調整の出発点になったという。

■「代理」の言葉に苦しんだ二世の声

数年前から二世立会人を務めてきたという男性(58)は取材に「代理という言葉を聞くたび、自分は本物ではないのだと言われている気がしていた」と打ち明けた。「それでも、頼んでくる家族の顔を見ると断れなかった。今回、代理ではなく立会人と呼んでもらえるなら、それだけで気持ちが違う」。一方で、この男性は「一世の言葉の重みが薄まることだけは避けてほしい」とも述べ、正式化が形式の緩みにつながらないよう望む声も、二世立会人自身から出ていることをうかがわせた。

■来春に向けた日程

市民協働課は9日、年内をめどとしていた論点整理の作業を10月中に前倒しする方針も明らかにした。来春の合同成人式に間に合わせるためには、名簿制度の骨格を年内に固める必要があるという判断からだ。担当課長は「立会人ご本人たちの声を、急ぎながらも丁寧に聞く。急ぐことと、雑にすることは違うと肝に銘じている」と話した。市は10月中に地区ごとの説明会を予定しており、詳細な日程は近く発表するとしている。

■岸渡りの所作、変わらぬ骨格

既報のとおり、岸渡りの所作そのもの――一世の言葉の口上に始まり、素足で波打ち際へ進み、両手で海水に触れて戻るまでの一連――に変更はない。立会人の位置づけをめぐる今回の調整は、あくまで「誰が立ち会うか」という周辺の制度に関わるものだと市民協働課は強調する。担当課長は「所作の芯は51年前から変わっていない。そこは変えるつもりがないし、変える権限がこちらにあるとも思っていない」と述べ、儀礼の本体は儀礼団体連合の判断に委ねる姿勢を改めて示した。

広告

倉庫市況月報〈内陸・湾岸〉

賃料と指数の等高線を、毎月一枚に。
東亰物流総研

関連記事