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九霧の記録箱、分類違いで23年間別の棚に 第64系統調査の記録見直しで発見

2026年(透暦52年)10月19日 (社会部・真柴湊) English

©東亰新報

第三鑑定センターは19日、既報(18日)の第64系統流出をめぐる保管棟全体の記録見直し作業の中で、分類番号の誤記により23年間別の棚に紛れ込んでいた箱が1点見つかったと明らかにした。中身は2003年の湾岸九霧事象の封鎖中にTDA観測班が持ち出した計測記録用紙の束と、破損した小型機材1点。行方不明の12人の私物ではなく、既報の遺留品(靴2足)の事実に変わりはないが、長年の分類の穴そのものが新たな疑問として浮かんだ。

■ 第64系統の棚整理が、別の年代の箱にたどり着く

既報(18日)のとおり、第三鑑定センターは第64系統の漂着物流出を受け、保管棟全体の入退室記録と棚の照合作業を進めている。19日、この作業に加わった職員が、2003年の登録分類を示す古い棚番号の近くに、本来あるべき場所と異なる分類ラベルが貼られた箱を見つけた。ラベルの番号の一部が手書きで訂正された跡があり、訂正後の番号が指す棚とは別の場所に長年置かれていたとみられる。

■ 中身は観測班の記録用紙と破損機材

センターによると、箱の中身は湾岸九霧事象(2003年)の9日間の封鎖中、TDA観測班が現場から庫内へ持ち出した計測記録用紙の束(約40枚)と、外装が破損した小型の計測機材1点だった。既報どおり事象の遺留品は岸壁に揃えられた靴2足のみであり、今回見つかった箱はこの事実と矛盾しない――行方不明者12人の私物ではなく、観測機材の側の記録に分類される物だという。センターは「個人の持ち物ではないことは確認済み。ただ、なぜこの箱だけ23年間違う棚にあったのかは、現時点で分からない」と述べた。

■ 「誰かが隠したのか、単純な手違いか」

露木要・予備調査協会会長は取材に「保管棟の分類はこの23年で何度か棚の配置替えがあった。手違いで紛れた可能性は十分にある。ただ、第64系統の件が起きた直後にこれが見つかったという巡り合わせには、どうしても意味を探したくなる」と述べた。センターは「意図的な隠匿を示す材料は今のところ無い」としつつ、第64系統の調査と合わせて経緯を確認する方針を示した。

■ 家族会「開けてみないと分からない、が増えただけ」

既報の九霧の会にもこの件は伝えられた。夫が行方不明のまま23年になる迫田佳寿子さん(70、既報)は本紙の取材に「これまでも、分かっても分からなくても同じ場所に報告に来てください、とお願いしてきた。今回も同じこと。箱が一つ増えても、開けてみないと分からない、ということが一つ増えただけだと思っている」と静かに話した。

■ 観測記録用紙、内容の解析はこれから

センターによると、見つかった記録用紙は当時の観測機材の時間平均値を手書きで記録したもので、既報のとおり2003年当時の技術では秒単位の変動は読めていない。TDAは「当時の観測班が何を記録しようとしていたのかを含め、内容の確認にはまだ時間がかかる」としており、既報の磁気テープ再解析(来年夏に中間報告)とは別枠で扱う方針。箱の分類違いがどこで生じたのかという手続き上の謎は、九霧の原因そのものと同じく、今のところ未解明のままだ。

■ 破損機材、九霧当日の損傷かは不明

箱に入っていた小型機材について、センターは「外装の破損がいつ生じたものかは分からない。封鎖中の事故によるものか、保管中の経年劣化かも含めて、これから鑑定にかける」と説明した。既報の湾岸九霧事象では、観測機材そのものが強い潮風と湿気にさらされた記録が残っており、同種の機材が当時どのような扱いを受けたかを知る手がかりになる可能性があるという。

■ 九重果林「証言の側からも、同じ時期の記録を探してみたい」

既報どおり湾岸九霧を次回作の主題とする在野研究者・九重果林(52)は、今回の発見を受け本紙に「観測の側に、まだ整理されていない記録が残っていたという事実そのものが、証言を集める側にも刺激になる。61人目までの聞き取りの中で、同じ時期の別の記録に触れた人がいないか、もう一度確認してみたい」とコメントを寄せた。既報どおり九重の取材はTDAの調査とは独立して進められている。

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