窓条約、鵜飼市長が「観測産業への配慮」要請 次元調査課との協議で「兆候」データの扱いが初の論点に
ノルディア連合議長シグネ・ルンドクヴィスト氏(61)は7日午前、鵜飼素子市長への表敬訪問、午後に次元調査課との非公式協議に臨んだ。市長は窓機関連産業が集積する都市行政の立場から、転用禁止の明文化が同産業に与える影響への配慮を文書で要請。午後の協議では、既報の第5窓「気づいている兆候」の観測データを条約の検証手続きにどう位置づけるかが、交渉の場で初めて具体的な論点として取り上げられた。
■ 表敬は定刻どおり、要請文は予定外の厚み
ノルディア連合議長シグネ・ルンドクヴィスト氏は、既報のとおり6日朝に来亰し、7日午後に離亰する日程で交渉関連の行事に臨んでいる。7日午前10時すぎ、市庁舎で鵜飼素子市長への表敬訪問が予定どおり行われた。表敬自体は15分程度の儀礼的な面談として組まれていたが、市長側は面談の終わりに、窓機関連産業への配慮を求める要請文を手渡した。市の広報担当者は「表敬の枠を超える実務的な申し入れになったのは事実だが、都市行政の立場として黙っているわけにはいかない論点だった」と説明する。
■ 「規制の厳格化が、産業の立地そのものを揺るがす」
要請文の主旨は、既報の軍事転用明文禁止の原案自体には異を唱えないが、検証手続きの具体化にあたっては、東亰精密光学など既報の観測機器・窓機部品産業への影響を十分に見極めてから進めてほしい、という内容だったという。鵜飼市長は面談後の短い会見で「転用を禁じることそのものに反対する立場ではない。ただ、検証の仕組みが重くなりすぎれば、観測関連産業の立地そのものが揺らぎかねない。数字を見てから騒ぎましょう、というのがいつもの私の立場だが、今回は数字が出る前に声を上げさせてもらった」と述べた。ルンドクヴィスト議長は「産業への配慮という論点は、転用禁止の原則とは矛盾しない。持ち帰って検討する」と応じたという。
■ 午後、次元調査課との協議室で
午後2時から次元調査課で行われた非公式協議には、議長側から随行の実務者2人、日ノ國側から局長の火浦誠氏と担当技官が出席した。協議はもともと窓条約の交渉とは別枠の、技術的な意見交換の場として組まれていたが、出席者の一人によると、議長側から「第5窓で観測されている、向こうが気づいているとみられる兆候について、そのデータは今後どう扱われるのか」という質問が出たという。火浦局長は「観測データの公開は科学的な判断であり、条約交渉とは別の筋で進む」と従来の立場を説明したが、議長側は「別の筋だとしても、公開の範囲や速度が、結果として転用禁止の検証手続きにも関わってくる場合がある」と食い込み、両者のやり取りは予定の30分を超えて続いたという。
■ 初めて具体的な論点に
出席者の一人は「これまでの窓条約交渉では、観測データの公開は『努力義務』という抽象的な言葉の中に収まっていた。今日、第5窓の兆候データという具体的な対象を指して、検証手続きとの関係が語られたのは初めてだ」と話す。火浦局長はその場で結論を出す立場にないとして「本日の質問は、調査課として持ち帰り、外務省とも共有する」と述べるにとどめたが、協議後、報道陣に対し「データの扱いが交渉の具体的な論点になり得ることは、今日初めて実感した」と漏らした。
■ 外務省「調査課からの報告を踏まえる」
外務省は7日夕、協議の内容について「次元調査課からの報告を踏まえ、必要であれば今後の協議の論点に加えることを検討する」とのコメントを出した。既報のとおり6日の事務協議では、同盟国アメリアが求める「同盟優先供与」を原案から分離する方針が示されていたが、今回の兆候データの論点は、公開派・主権派・中間派のいずれの陣営にも直接の利害が及ぶ性質のもので、外務省幹部は「分離できる論点と、分離しにくい論点が、今日で一つはっきりした」と話した。
■ 玄洲、市長要請に静かな反応
主権派の中心である玄洲の在亰大使館は、市長の要請について直接のコメントは出していないが、報道官談話として「観測産業への配慮が、結局は観測主権の尊重と同じ方向を指すのであれば、歓迎できる動きだ」との一文を加えた。外務省筋は「玄洲が市長要請を自陣営寄りだと解釈した格好だが、こちらにそういう意図はない」と、あくまで都市行政としての申し入れであることを強調した。
■ 市民の受け止め——「産業も暮らしも、同じ街の話」
表敬の様子を市庁舎前で見守っていた観測機器メーカーの技術者は「転用禁止そのものは当然だと思うが、検証の仕組みが重くなって部材調達が止まれば、結局は現場の雇用に響く。市長が声を上げてくれたのはありがたい」と話した。一方、既報の「観測を拓く会」の集会に参加してきた湾岸部の住民は「産業への配慮を優先しすぎて、転用禁止の原則があやふやになるのは困る。両方が両方、という市長の説明をそのまま信じたい」と、原則の後退を警戒する声も聞かれた。
■ 離亰を前に
ルンドクヴィスト議長は7日夕に羽田空路から離亰する予定で、代表団長を務める雨宮悠一氏(55)は「今日一日で、転用禁止という大きな一点と、データの扱いという細かい一点の両方が、同じ日に動いた。細かい一点のほうこそ、これから詰めるのに時間がかかる」と述べ、10月中旬の暫定合意に向けた協議が、当初の想定よりも論点を増やしながら進んでいることをうかがわせた。







