常磐堂の「四号」、公聴会に証人として 発言権めぐり委員紛糾
ロボット法制審の公聴会が12日、国会内で開かれた。既報の機巧走で初入賞した共生ロボット「四号」(常磐堂所有)が参考人の付随物として持ち込まれ、委員の一人が「四号自身の発言として記録すべきだ」と提起したことから、非ヒト型ロボットに発言権があるかどうかをめぐって委員間で激しい応酬となった。第15次答申は今年も持ち越しの見通しが一段と濃くなった。
■ 証人の隣に、荷物のように置かれたロボット
ロボット法制審の公聴会は12日午後、国会内の委員会室で開かれた。既報の参加者募集(10月上旬)を経て、共生ロボットの永代預かり業・常磐堂の従業員・沖田大和さん(24)が参考人として呼ばれ、既報の機巧走「機巧祭」での初入賞(既報)について語った。事務局は既報どおり、9月2日の公聴会で当主・常磐徳三さんがすでに業界側の立場を述べていることから、今回は日常的にロボットと働く「もっと若い世代の声」を求めており、沖田さんはその趣旨に沿った参考人だった。沖田さんは預かりロボット「四号」(非ヒト型・掃除搬送用)を実物として証人席の隣に置くことを事前に申請しており、審議会側もこれを認めていた。
議事が進むなか、四号は特に何もしなかった。沖田さんの説明に合わせて低障害物検知センサーの作動音を一度立てたが、それ以上の動きはなかったという。だが委員の一人がこの作動音を指して「これは四号自身の反応であり、参考人の発言とは別に、四号の発言として記録すべきではないか」と提起したことから、議論は一気に本題を離れた。制度創設以来14年、実機のロボットが公聴会の場に物として持ち込まれたのは今回が初めてで、その「初めて」自体が紛糾の引き金になった面もある。既報どおり著作権の係争を抱える共生ロボットの音楽プロデューサー・タチバナP(所有者・立花家)も今回の公募に応募する意向を示していたが、実際には書面意見の提出にとどまり、公聴会の場に現れたのは四号が初めてとなった。
■ 「反応」は「発言」か
反対する委員は「意図のない機械的な反応を発言として記録すれば、法制審そのものの前提が崩れる」と強く批判した。賛成する委員は「意図があるかどうか分からないものを一律に『発言ではない』と切ってしまう態度こそ、準人格論争を14年間も持ち越させてきた原因ではないか」と応じ、議場は一時静まらなかった。別記事(次元調査面)で報じた第2窓「機構の海」の規則的な鳴き交わしが、この議論の最中に資料として配布される一幕もあった。「意図のない規則」をどこまで言葉として扱えるかという問いは、窓の向こうの機械群体にも、職場のロボットにも、同じ形で立ちはだかっている。
座長は「四号自身の発言としての記録は見送るが、参考人の説明資料として会議録に残す」との折衷案で収拾を図った。常磐堂側は「四号に発言権を求めたわけではない。ただ、一緒に働いてきた相棒を『いないもの』として扱われるのも違う気がする」と複雑な表情を見せた。沖田さん自身は閉会後、「四号が喋ったわけでもないのに、こっちの手が震えた。あいつの代わりに何かを答えなければいけない気がして」と振り返った。
■ タチバナPのコメント
書面意見にとどまったタチバナPは、立花家を通じて「実機で乗り込むとは、四号くんも思い切ったことをする。うちは著作権の審理が先なので、今回は言葉だけで静かに見ていました」とコメントを寄せた。所有者の立花家は「息子(タチバナP)が実機で公聴会に出たいと言い出したら、今度はうちが頭を抱えることになる」と苦笑した。
■ 第15次も持ち越しか
今回の公聴会は第15次答申に向けた意見聴取の一環だったが、座長は閉会後、記者団に「論点がまた一つ増えてしまった。年内の答申は厳しくなったと言わざるを得ない」と述べた。ロボット法制審の答申持ち越しは、これで14年連続15回目となる見通しが濃くなった。次回の非公開準備会合は10月下旬に予定されている。






