送迎ボランティア80人、最終研修 漂着記念日まであと3日
漂着記念日(7日)の式典に招かれる一世121人の自宅送迎を担う市民ボランティア80人が4日、湾岸市民会館で最終研修を受けた。定員の3倍を超える応募から選ばれた面々で、最高齢の岸谷タネさん(101)を担当する大学生・朝倉岬さん(20)の姿もあった。
■240人超の応募から80人
市民協働課が主催する送迎ボランティアの最終研修が4日午後、湾岸市民会館で開かれた。既報のとおり定員80人に対し応募は240人を超え、書類選考と簡単な面談で選ばれた面々が、当日の動線と一世への接し方について3時間の研修を受けた。研修では、車いすの乗降補助、長時間の移動が難しい参加者への休憩の取り方、当日の雨天時の対応まで細かく確認された。担当職員は「応募の多さに正直驚きました。式典そのものより先に、送迎をやりたいという声が集まったのは、この制度を続けていく上で心強いです」と話す。
研修に参加した朝倉岬さん(20)は、既報の「教科書がしゃべる」の談話で紹介された学生で、今回名前とともに担当が明らかになった。担当するのは最高齢の一世、岸谷タネさん(101)。既報の連載「岸辺の人々(6)」で紹介されたとおり、深川の長屋で二世の孫夫婦と同居しており、今年の式典には「聴く係」として参列する予定だ。朝倉さんは「事前に伺いに行ったとき、こちらが緊張しているのを見抜かれて、逆に励まされました。当日は主役の足を引っ張らないようにするのが目標です」と話した。
■一世の高齢化、送迎の意味
一世招待は今年121人。既報のとおり10年前の約半数まで減り、平均年齢は70代後半に達している。送迎ボランティア導入の背景には、この高齢化がある。市民協働課の担当者は「これまでは家族や地域の儀礼団体が個別に送迎を担ってきましたが、担い手の高齢化が同時に進んでいます。制度として仕組みを用意する段階に来たと判断しました」と説明する。既報の「岸渡り」立会人名簿制度の検討と背景は重なっており、儀礼を支える人手の確保が式典・成人式の両面で課題になっている。
研修では、送迎先の一世本人が式典への参加を当日辞退する可能性についても触れられた。担当職員は「無理に連れて行くための制度ではありません。行きたい気持ちを支える制度です」と繰り返し強調し、辞退の意思を尊重する手順を確認した。朝倉さんは「岸谷さんは今のところ体調に問題はないとおっしゃっていましたが、当日の朝もう一度伺うつもりです」と話す。
■3カ所の福祉施設へ中継、会場周辺は手荷物検査
式典は7日正午、岸浜公園で開始し、冒頭に岸の子守唄が披露される。会場に来られない一世のために、市内3カ所の福祉施設への中継も既報のとおり予定されている。会場周辺では大潮集中観測(5〜7日)の観測機材配置と警備が重なることから、既報のとおり手荷物検査の列が設けられる予定で、市民協働課は送迎ボランティアに対し、車両からの降車位置と検査列の順路を重ねて説明した。
研修の最後には、岸浜公園までの実車走行が行われ、ボランティア同士が2人1組でルートを確認した。朝倉さんの相棒を務めた別の学生は「本番より緊張します、と言ったら、隣の人に『それでいいんです、緊張感がなくなったら事故が起きる』と言われました」と振り返った。式典まで残り3日、送迎ボランティアの動きが式典を静かに支える裏方として動き始めている。
