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二つの耳と、銀の髪が並んだ 犬系と設計世代、深川で結婚式

2026年(透暦52年)11月1日 (社会部・汐入梨花) English

©東亰新報

耳のある人と、ない人が並んで誓いを立てた。深川の自治会館で1日、犬系二世の瀧本大和さん(28)とデザインベビー世代の久末ことねさん(26)の結婚式が開かれ、親族や友人ら約60人が祝った。既報(10月31日)の三氏族合同太鼓の面々が、急遽、祝いの一曲を披露したことでも話題になった。

■ 「耳のことは、最初はよく分からなかった」

瀧本大和さん(28)は深川の犬系自治会の太鼓連に所属する港湾作業員。久末ことねさん(26)は深川北小学校に隣接する学童保育の指導員で、1990年代以降のデザインベビー第二世代にあたり、銀髪と淡い色の瞳のほかは人類と変わらない見た目を持つ。2人は3年前、太鼓連の夏祭り出店の手伝いを通じて知り合った。久末さんは「大和さんの耳のことは、最初は正直よく分からなかった。でも、気になるのは最初の数回だけで、そのうち気にならなくなった」と振り返る。

■ 急な「ご祝儀」の演奏

式は1日午後、深川の自治会館で親族・友人約60人を集めて開かれた。進行の途中、既報(10月31日)の深川中央広場での合同演奏に参加した犬系自治会の面々数人が、太鼓を抱えて会場に現れ、短い祝いの一曲を即席で披露する一幕があった。犬系自治会長・戌亥浩二(56、既報)は「瀧本は太鼓連の若手で、顔を出さないわけにいかなかった。重ねる太鼓の次は、重ねる夫婦だと思って叩いた」と笑った。久末さんは「まさか結婚式で、あの太鼓を間近で聴けるとは思わなかった。涙が出た」と話した。

■ 氏族と世代を越えて

瀧本さんの父方の家系は漂着二世が多く、犬系の立ち耳とふさふさの尾を受け継いでいる。一方、久末さんの家系は設計世代として3代目にあたる。親族代表として挨拶した瀧本さんの伯父は「氏族が違う、世代が違う、それだけのことで昔は何かと言われたものだが、今日のこの場に、そういう空気は欠片もなかった」と述べた。久末さんの母は「娘が選んだ相手が、耳のある人かどうかなんて、親としては正直どうでもよかった。ちゃんと娘を見てくれる人かどうか、それだけが心配だった」と話した。

■ 「全部好きと言えた日」

既報(10月31日の合同太鼓公開記事)で取材に応じた、犬系の夫と狐系の妻を持つ男性(39)の家族も招かれており、子どもは「結婚式でも太鼓が鳴るなんて知らなかった」と喜んだという。瀧本さんは「耳があっても、無くても、同じ太鼓を聴いて同じように涙が出る。それだけで十分だと、今日分かった」と話した。披露宴はその後、犬系自治会の知人が営む屋台の料理がふるまわれ、夜まで続いたという。

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