窓の向こうを、九条蓮が演じる 新作映画『潮境』始動
寡黙な俳優が、寡黙な記者を演じる。星霧ピクチャーズは1日、窓室に通う新聞記者を主人公にした新作映画『潮境(しおざかい)』の製作を発表し、主演に九条蓮(34)を起用すると明らかにした。脚本家として知られる三好渉子(42)の長編映画監督デビュー作で、来春の公開を目指す。
■ 「記者を、演じたことはなかった」
星霧ピクチャーズは1日午後、京橋のホテルで記者会見を開き、来春公開予定の新作映画『潮境』の製作を発表した。物語は、定常窓の窓室に長く通う架空の新聞記者を主人公に、向こうの世界を見続けることと、何も変えられないことの間で記者が何を書くかを描くという。主演の九条蓮は会見で「記者を、演じたことはなかった。台本を読んで、台詞の少ない役だと分かって、むしろ安心した」と話した。恒例どおり、この日の発言は数えて3文だった。
■ 三好渉子、長編初監督
脚本家として既に10本以上の作品を手がけてきた三好渉子(42)は、今回が長編映画の監督デビュー作となる。三好は「次元調査面の記事を読んでいて、『見ているだけで何もできない』という立場の切なさに、報道そのもののかたちを見た気がした。だから記者を主人公にした」と企画の出発点を説明した。脚本も三好自身が手がけ、タイトルの『潮境』は、異なる水域が接してもまじり合わない境目を指す言葉から取ったという。
■ 「窓の家」から2年、再び朝ドラの舞台で
九条蓮は、既報どおり共演者だった女優・篠宮ひかり(27)と9月に結婚を発表しており、来春に予定する挙式と映画の公開時期が近いことも会見で話題になった。九条は「式のことは、台本と同じくらい真剣に考えています」と短く答え、会場から笑いが起きた。撮影は今月中旬、羽田沖の観測やぐらの外観を借景にした深川のセットで始まる予定で、窓室内部の場面はすべてセット撮影になるという。三好は「向こうの世界を映像で見せるつもりはない。記者がガラスの前で何を考えるか、それだけを撮りたい」と述べ、次元調査面の原則と同じ「見せない」姿勢を映画でも貫く考えを示した。
■ 窓番たちの反応
この日の会見には、次元調査課の広報担当者も招かれ、「創作として窓室を描いてもらうことに、特に異存はない。現実の窓番の仕事とは別物として楽しんでもらえれば」とコメントした。第1窓の窓室で働く職員の一人は取材に「自分たちの仕事が、こんなふうに見られていたのかと新鮮だった。台本のセリフに、思わず頷いた箇所もあった」と話した。配給は来春、京橋映画との共同配給で全国公開を予定している。



