内陸倉庫、賃料12%上昇 「指数疎開」定着、動けぬ中小に募る割高感
民間調査会社・東亰物流総研が1日発表した8月の倉庫市況月報によると、城西・内陸部の倉庫賃料は前年同月比12%上昇し、統計開始以来の最高値を更新した。湾岸部の空室率は3年ぶりに上昇に転じた。透過指数の高い湾岸から在庫を内陸へ移す「指数疎開」が業界語として定着し、倉庫の地図を塗り替えつつある。
■等高線がもう一本
「地図に等高線がもう一本増えたようなものです」と総研の主任研究員は言う。「標高と駅からの距離に加えて、指数の平年値が賃料を決め始めた」。今夏の湾岸部の指数高止まりを受け、物流各社が夜間便の経路を内陸へ振り替えた動きは、一時しのぎのはずが恒常化した。月報によると、内陸の主要倉庫の空室率は1%を切り、「借りたくても物件がない」状態が続く。
■湾岸の引き留め策
湾岸側も黙ってはいない。湾岸大手の州浜倉庫は、予報連動型保険とのセット割引、構内高所への「退避棚」の増設、荷主向けの指数速報の館内放送——と引き留め策を重ねる。担当者は「湾岸の強みは、岸壁とセットなことです。船は疎開できませんから」と強気を崩さない。それでも同社の新規契約は前年を下回った。
■動けない側の言い分
疎開できるのは、体力のある荷主だけだ。城東の中小食品卸の社長(57)は、内陸移転の見積もりを取って諦めた。「うちの一年分の利益と同じ額でした。残る側は保険料も賃料も上がる。二重に取られている気分です」。金融庁が保険の予報格差で料率の説明義務を検討しているのと同様、倉庫でも「指数を理由とする賃上げの根拠開示」を求める声が荷主団体から出始めた。
総研は先行きについて「指数が落ち着けば揺り戻しはあり得る」としつつ、こう付け加える。「倉庫の契約は複数年です。指数は下がっても、家賃はすぐには下がりません」


