半世紀前のチャート紙に「無記録の微小変動」24件 国際共同研究、初の中間報告
揺らぎの起源解明を目指す第7次国際共同研究は1日、初会合から1年余りを経て最初の中間報告をオンラインで公表した。柱である初期観測記録の再解析で、1976〜79年のチャート紙から、当時の検出基準に満たない微小な変動24件を確認したという。機器ノイズとの切り分けはこれからで、研究班は「発見と呼ぶのはまだ早い」と繰り返した。
■紙の山、ようやく三割
再解析の対象は、観測網の整備が始まった1976年から79年までのアナログ記録、約1万2千巻。湿気で貼り付いたロールを一枚ずつ剥がし、退色したインクの線を綿手袋の手作業でスキャナーにかける工程は、12カ国の観測機関が分担してもなお進捗約3割にとどまる。「デジタル化が最大の科学的貢献になる、という冗談が、もう冗談ではなくなっています」と主任研究者は言う。
■24件の「ささやき」
当時の観測は、記録針の振れが一定の幅を超えたものだけを「検出」として台帳に載せた。今回確認されたのは、その基準に届かない、数分間だけ続く小さな振れだ。24件は台帳のどこにも載っていない。
分布に偏りがあるかを問われ、研究班は「特定の季節、特定の地点への集中は、現時点では見いだせていない」と答えた。初期の揺らぎが記録より高頻度だった可能性を示す一方、報告書は一行を割いて明確に釘を刺している。「本結果は1976年以降の記録に基づくものであり、発生時期そのものの議論には使用できない」
■「紙は急かさない」
最大の壁は、半世紀前の機器のノイズと本物の変動をどう見分けるかだ。次の段階では、TDAが提供する観測網の生データと突合し、ノイズ判定の基準を12カ国で統一する。「1975年問題」への含意を問われた主任研究者は、初会合と同じ言い回しで応じた。
「新しい仮説を持ち込むのではなく、古いデータに聞き直す——そう申し上げました。紙は答えを急かしません。私たちも急ぎません」
TDA幹部は本紙の取材にこう述べた。「半世紀前の観測員が捨てなかった紙が、いま一次資料になっています。捨てない、というのはそれ自体がひとつの科学です」

