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次元調査

揺らぎの開口、観測史上初めて鮮明に撮影 若洲沖、漂着物1点を第154系統として登録

2026年(透暦52年)10月26日 (科学部・次元調査・戸田輪) English

26日未明、東亰湾・若洲沖を巡回していたTDA予報課の巡視艇「ひかりぼし」が、揺らぎの開口から収束までの約11秒間を搭載カメラで鮮明に記録した。いつどこで起きるか予測できない非定常の揺らぎが、開口の過程そのものを映像として捉えられたのは観測史上初めて。開口直後に水面へ落下した円盤状の漂着物1点は、第三鑑定センターの分析で既知のいずれの系統とも一致せず、26日付で暫定第154系統として登録された。

■ 午前4時43分、たまたま回っていたカメラ

26日午前4時43分ごろ、東亰湾・若洲沖を定期巡回していたTDA予報課の巡視艇「ひかりぼし」で、操縦にあたっていた久保田丞(38)が、いつもどおり沖合の透過指数観測ブイを確認しようと速度を落としたところ、進行方向の水面よりわずかに高い空気が不規則にゆがみ、虹色に近い光の帯が一瞬にじんだ。運転席の記録用カメラは、安全確認のために巡回中は常時作動させている通常の装備で、特別な準備はしていなかったという。久保田は船速をさらに落として距離を取ったが、カメラは止めなかった。

TDAが26日に公表した映像では、ゆがみが現れてから収まるまでの約11秒間、画面中央の景色が熱で揺らぐように波打ち、最後に小さな何かが水面へ落ちる様子が確認できる。久保田は「とにかく近づかないことと、カメラが回っているかの二つしか考えていなかった」と振り返る。

■ 11秒間に映っていたもの

次元調査課が映像を解析したところ、ゆがみの内部にうっすらと輪郭のようなものが一瞬浮かんだが、焦点も光量も足りず、建物なのか、何らかの構造物なのか、現段階では判定できないという。調査課は26日の会見で「向こう側の様子を読み取れる映像ではない。輪郭が映っていること自体を、意味のある情報として扱う段階にはまだない」と繰り返した。

これまで非定常の揺らぎは、発生直後の透過指数の記録か、後から見つかる漂着物によって「起きていたらしい」と事後的に分かることがほとんどだった。定常窓5窓の窓室には観測用のカメラが常時向けられているが、それでも開口の全過程が鮮明に残った例はこれまでなかったという。戸田輪記者が以前取材した窓番の一人は「窓室のカメラはずっと向けているのに、肝心なところはいつもぶれるか暗すぎるかだった。巡視艇の記録映像にあっさり映っていたと聞いて、正直少し悔しい」と笑いながら話した。

■ 漂着物、第154系統として登録

ゆがみが収まった直後、海面に小さな円盤状の物体が落下するのが映像で確認でき、巡視艇がただちに回収した。直径約6センチの滑らかな石のような材質で、表面に渦巻き状の溝が彫られている。第三鑑定センターが同位体比を分析した結果、既知の152系統・暫定153系統(既報16日、「同じ顔の漂着者」が持っていた金属の環)までのいずれとも一致せず、26日付で暫定第154系統として登録された。

センターの担当者は「模様だけを見れば装飾品か道具の一部のようだが、用途は分からない。5つの定常窓のどの系統とも符合しないし、暫定148系統の金属柱や第5窓『剣の国』の『式』の札の文字とも、模様の系統に関連は見出せていない」と説明する。漂着物1点のみの登録であり、定常窓のような継続観測の対象になるかどうかは今のところ未定。

■ 「鮮明な映像は初めて」——TDAの受け止め

TDA局長・火浦誠は26日の定例会見で「分かっていないことを分かっていないと言う、という我々のやり方に変わりはない。鮮明な映像が撮れたことは記録として重要だが、それで『見えた』ことにはならない」と述べた。次元調査課は今回の映像を、11月上旬の外部有識者検討会(座長・梶浦悦子、既報)に資料として提出する方針を明らかにした。既報(23日)の第2窓「機構の海」の観測記録がロボ法制審の非公開会合に資料として使われた例と並び、次元調査の記録が別の審議・検討の場で参照される機会が増えている。

■ 久保田丞さんの一夜

巡視艇を操縦していた久保田丞(くぼた・じょう、38)は、予報課の巡視艇クルーとして9年目。「揺らぎらしきものを目にするのは今回が初めてではないが、あんなにはっきり色が変わるのを近くで見たのは初めてだった。怖さより先に、カメラが回っているかどうかを確認していた」と振り返る。船速を落とした判断について「制御不能だと分かっているから、逃げるより記録を残すほうが自分の仕事だと思った」と話した。久保田は今後も定期巡回を続け、次元調査課からの聞き取りにも応じる予定で、今回の映像の追加分析が進めば再登場が見込まれる。

■ 今後

第154系統の漂着物は、次元境界管理法に基づく国庫帰属の手続きを経て、第三鑑定センターで保管・鑑定が続く。開口があった海域では26日中に透過指数の臨時測定が行われたが、通常水準に戻っており、同じ場所での再発の兆候は今のところない。次元調査課は「非定常の揺らぎは制御も予測もできない。今回たまたま鮮明に映ったことに、幸運以上の意味を持たせるつもりはない」とし、輪郭の正体・漂着物の用途ともに未解明のまま温存するとした。

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