霧笛、初めて昼間に 旧第二湾岸信号所、24日ぶりの通報
湾岸九霧事象(H-2003-01)以来閉鎖されている旧第二湾岸信号所の周辺で、既報(10/6)から24日ぶりに「霧笛のような低い音」の通報があったことが30日分かった。これまでの確認はすべて霧のない夜間・午前2〜4時台だったが、今回は29日午後2時すぎ、晴天の昼間に周辺で作業中の港湾作業員2人が直接聞いたという、質的に異なる発生状況になった。信号所の霧笛設備は2004年に電源が撤去済みで、音源・原因ともTDAは今回も特定できていない。
■ 初めて、日の下で
港湾局によると、通報があったのは29日午後2時10分ごろ。旧第二湾岸信号所から水面を挟んで約700メートルの埠頭で荷捌き作業をしていた港湾作業員2人(ともに40代、氏名非公表)が、低く長い音を約10秒間、同時に聞いたという。「霧笛だと思ったのは、音の低さと長さが、子どものころ聞いた記憶とぴったり重なったから」と一人は話す。「夜中の話だとばかり思っていたから、昼間の、こんな晴れた日に聞くとは思わなかった。隣の同僚も同時に『あれ』と言ったので、気のせいではないはずだ」。
既報(8/31・10/6)の通報は、いずれも霧の出ていない夜間・午前2時から4時台に確認されており、今回のように日中・晴天下での発生は初めてとなる。TDA広報担当者は30日の取材に「夜間の静けさの中でしか聞こえていなかった可能性と、現象そのものが変化した可能性の両方があり、現時点では区別できない」とコメントした。
■ 「機械的な音」説と「人の声」説
既報の潜行監視員・霧生伊織(29)は、今回は現場に居合わせていなかったが、本紙の取材に「夜間に自分が聞いた音は、立ち上がりと切れ方に機械的な一定の長さがあった。もし今回も同じ音なら、時間帯が変わっただけで、音の性質自体は同じだと考えるのが自然だと思う」と話した。一方、港湾作業員の一人は「音の終わり際に、かすかに人の声のような響きが混ざっていた気がする。でも自信はない」とも証言しており、現場の受け止めは一致していない。
■ 港湾局「撤去検討に変わりはない」
港湾局は、既報の現場保存を求める遺族側と撤去検討を進める港湾局との協議について、今回の報告を受けても方針を変えていないとした。担当者は「信号所の老朽化は進んでおり、音の正体とは別に、安全上の判断は必要になる。ただ、遺族側の意向を無視して一方的に進めることはしない」と述べた。湾岸九霧事象で行方不明となった12人の家族でつくる会は「音が変わったという話を聞くたびに、何かが近づいているような気がしてしまう自分がいる。それが正しい感覚なのかどうかも分からない」とコメントした。
■ 「夜のものだと思っていたから、気が抜けていた」
現場近くで漁具店を営む男性(63)は、九霧事象以前から信号所を知る数少ない住民の一人だ。「あの建物の音は、夜中に一人で聞くから怖いんだと思っていた。昼間に、仕事仲間と一緒にいるときに聞いたという話を聞いて、正直、気が抜けていたところを突かれた感じがした」と話す。「夜だけの話なら、気にしないようにできる。昼間もとなると、ちょっと話が違う」。
■ 今後
TDAは今回の通報を受け、信号所周辺の観測機器の感度を一時的に上げる方向で検討しているという。音源・原因とも未解明のまま温存され、次の確認があるかどうかは静観となる。



