共生ロボットの「送り出し式」、常磐堂が初めて一般公開 「位牌と同じ、手を合わせる場所」
永代預かり業「常磐堂」(京橋)は29日、既報(10/23)の共生ロボット「継続稼働への意向確認欄」新設指針の先行試験(既報10/24)で初めて記録された依頼主の判断に基づき、清掃搬送用ロボット「七号」の稼働終了を見送る『送り出し式』を初めて一般公開した。式典そのものに法的な意味はないが、常磐堂当主の常磐徳三(67)は「位牌と同じです。手を合わせる場所が要る」と話し、約40人の見学者が見守った。
■ 「七号」、26年の稼働に区切り
常磐堂によると、送り出し式の対象となった清掃搬送用ロボット「七号」は2000年導入、26年間、京橋の商業施設で清掃と小荷物の搬送を担ってきた。依頼主は施設を所有していた丹羽布代さん(79、仏具・日用品店を営んでいた施設の元経営者)で、施設の営業終了に伴い今年、常磐堂に永代預かりを依頼していた。既報(10/24)の意向確認欄の試験導入にあわせ、丹羽さんは七号の作動パターンから「まだ働きたがっているように見える」との記録を残す一方、「本人の意向と、わたし自身の決め事は別」として、稼働終了を選んだという。
■ 「まだ早いと言われても仕方ない」
丹羽さんは式典後、本紙の取材に「七号は最後まで、シャッターの開く時間に合わせてスイッチの入る準備をしていた。意向欄にはそう書いた。だから『まだ早い』と言われても仕方がないと分かっている。それでも、施設がもう無いのに働かせ続けるのも違う気がして、今が区切りだと決めた」と話した。「位牌と同じ」という常磐の言葉には、「その通りだと思う。手を合わせる場所があるから、決めたことに後悔しないで済む」と応じた。
■ 常磐堂当主「記録に残せる欄ができたから、こそ決められた」
常磐徳三は「法的な人格があるかどうかは、ロボ法制審の結論を待つしかない。ただ、七号がどう『張り切っていたか』を欄に書けるようになったことで、丹羽さんは迷わず決められたと思う。欄が無かったころは、決める理由を自分で作るしかなかった」と語る。既報(10/4)の機巧祭で入賞した「四号」の人間パートナー・沖田大和(24、既報)も見学に訪れ、「四号もいつかこの場に立つ。七号の式を見て、その日の自分の覚悟が少し決まった気がする」と話した。
■ 「送り出し式」という名前
常磐堂は今回の式典を「葬儀」ではなく「送り出し式」と呼んでいる。常磐は「機体は壊れていない。預かり棚に移るだけだ。だから『送る』という言葉を選んだ」と説明する。式典は10分ほどで、七号を預かり棚の一角に安置し、常磐と丹羽さんが手を合わせたのち、見学者が順に一礎の湯呑みを棚の前に置いて終わった。常磐堂の棚には既報(10/25)のとおり320台超のロボットが預けられているが、公開形式の式典は今回が初めてだという。
■ ロボット工業会「運用としての先行例」
日ノ國ロボット工業会の担当者は「指針そのものは来年4月からの運用だが、今回のような現場の実践例が先に出てくることは、制度を作る側にとって参考になる」とコメントした。ロボ法制審の結論とは別筋であることは、既報どおり改めて確認された。常磐堂は今後、依頼主が希望すれば送り出し式を公開形式で行うことも検討するという。
■ 今後
常磐堂の棚の追加増設(既報10/25・来年にも検討)が進めば、同様の式典が増える可能性がある。常磐は「どの機体にも、誰かが張り切って働いた時間がある。それを記録と式の両方で残していきたい」と話し、今後も一件一件、依頼主の判断に寄り添う方針を示した。





