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次元調査

第1窓の見学抽選、104回目でついに当選 「灯しの街」を初めて見た夜

2026年(透暦52年)9月16日 (科学部・次元調査・戸田輪) English

©東亰新報

羽田沖の第1定常窓「灯しの街」の一般見学は、1日80人の狭き門を抽選で争う人気企画だ。16日夜の回に、応募104回目でようやく当選した市内の女性がいた。倍率は紙面の定番として時々報じられるが、当選までにかかった年月を追うと、この面らしい気の長い話になる。

■ 百回を超えた抽選

第1定常窓「灯しの街」の一般見学は、TDA次元調査課が2024年の稼働開始とともに始めた予約制の企画で、1日80人までを毎回抽選で決める。応募は月初めにまとめて受け付ける方式で、倍率は多い月で20倍を超えることもあるという。小学校の社会科見学コースに組み込まれて以降、応募数はさらに増えた。

16日夜の回に当選したのは、市内在住の会社員・只野恵美子さん(58)。初めて応募したのは第1窓が稼働してまもない2024年5月で、以来ほぼ毎月欠かさず応募を続け、今回が104回目だったという。「途中から番号を数えるのはやめました。数えると、当たらないことのほうが気になってしまうので」。当選通知を受け取ったときは、「正直、詐欺かと思って次元調査課に電話で確認しました」と笑う。

■ 窓の前で

見学時間は1回あたり約20分。窓室に案内されると、只野さんは他の見学者数人とともに、ガラス越しに広がる石造りの街並みをしばらく無言で見つめていたという。同行した窓番は、「灯しの街」の夜景が窓機の稼働以来もっとも美しいと言われる時間帯の一つで、通りにともる灯りの数が観測記録でも多いことを案内した。只野さんは「テレビや写真では何度も見ていたのに、実物は全然違いました。灯りが、思ったより揺れていたんです」と話した。

見学者の中には、小学生の孫を連れた60代の男性もいた。既報のとおり第1窓の見学は社会科見学コースにも組み込まれているが、一般枠での親子連れの当選は珍しいという。男性は「学校の見学は日中だけと聞いていたので、夜の姿を孫に見せられたのはよかった」と話した。窓室の壁には、稼働開始からの当選者数と応募数を示す簡単な掲示があり、只野さんはそれを指さして「これを見ると、自分だけじゃないんだな、と思えます」と笑った。

この日の開口では、既報の「式」の札を手にした人影の一団が市場らしき広場を横切る様子も観測された。窓番は日誌に「今夜は人出が多い」とだけ記したという。向こうの世界がこちらを認識している証拠は依然としてなく(未解明のまま)、次元調査課はこの日も「観測報告」の範囲を超えるコメントは控えている。

■ 「見ていていいのか」の議論の傍らで

次元調査課は年内に外部有識者検討会を新設し、長時間開口への対応方針とあわせ、「見ていていいのか」という倫理論争も議題にする予定だ(既報)。この日、見学者向けに配布された案内資料にも、向こうのプライバシーへの配慮を呼びかける一文が加わっていた。只野さんはこの点について聞かれ、「見せてもらっている、という感覚はずっとあります。だから写真も、あまり撮りませんでした」と答えた。

窓室を出た只野さんは、売店で「灯しの街」のポストカードを1枚だけ買い、「これで来月からは、また誰かに順番を譲れる気がします」と話した。窓は今夜も静かに、向こうの街の灯りを映し続けている。

■ 百回分の暮らし

只野さんによれば、この2年余りの応募のあいだに、勤め先が変わり、実家の母を見送り、飼っていた猫が老いた。「当たらない月のほうが多いので、応募すること自体がもう習慣というか、月初めの小さな用事になっていました」。応募の記録は、はがき代わりのスマートフォンのアプリに残っており、104回分の日付を遡ると、そのまま只野さん自身のこの2年の暮らしの記録にもなっているという。次元調査課の担当者は「倍率だけを見ると気の長い話に聞こえますが、応募し続けてくださる方がいるおかげで、この面は続いています」と話した。

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