深川漂着物、検疫委員会「1点のみ・密閉環境で開封」決定 残る2点は保管継続へ
深川2丁目に8月21日未明に漂着した金属容器3点の開封可否をめぐり、第三鑑定センターの検疫委員会は16日、3点のうち1点のみを密閉環境で開封し、残る2点は当面「保管継続」とする方針を決定した。既報のとおり液面の像が容器を傾けても追従しない現象や、3点の刻印の書体差は依然として説明がつかないままで、開封作業自体も9月末ごろまで日程を空けて慎重に進められる。
■ 三点、二十六日ぶりの結論
8月21日未明、深川2丁目の路上に漂着した金属容器3点をめぐり、第三鑑定センターの検疫委員会は16日、区の会議室で非公開の審議を行い、3点のうち1点のみを密閉環境で開封し、残る2点は当面「保管継続」とする方針を決定した。発見から26日、9月12日の住民説明会から4日での結論となる。
3点はいずれも高さ30センチ前後の円筒形で、内部に水に似た液体が満たされている。既報のとおり、容器を最大15度傾けても液体の像がX線・音響のいずれの計測でも追従しないという現象が確認されており、9月2日の作業部会報告では「計測系・画像処理に異常なし(物差しは正常)」としながらも、「対象の性質に起因する可能性が高い」という以上の説明には至っていない。同位体比は世界線照合データベースの既知147系統(当時)のいずれとも一致せず、加えて3点の刻印の書体にわずかな差があることから、複数の由来が混じっている可能性も排除されないまま残っている。
■ 審議の中身——「分けて考える」という選択
委員会は当初、9月2日の作業部会報告で浮上した「開封せず保管継続」案を初めて正式議案として扱う方針だった。16日の審議では、この案と、少なくとも1点を開封して直接分析すべきだとする案の両方が出され、最終的に「1点は開封、2点は保管継続」という折衷案でまとまったという。
第三鑑定センターの説明によれば、開封対象は3点のうち液面の非追従現象が最も安定して観測されている1点。理由は「同じ性質を持つとみられる残り2点まで手をつける必要はない」というもので、開封で得られる知見を残る2点の扱いにも反映させる考えという。開封は密閉環境、具体的には外部への漏出を遮断した気密チャンバー内で行い、内部の気体・液体の性質を段階的に確認しながら進める。センターの担当者は「一気に蓋を開けるようなことはしない。数日がかりの作業になる」と話した。開封の実施は9月末をめどとし、詳細な日程は今後詰める。
検疫対象に指定された漂着物のうち、一部を「保管継続」とする判断は今回が初めてとなる。予備調査協会の会長・露木要氏(56)はこの決定について「鑑定は白黒つけるための手続きだと思われがちですが、分けて考えるという判断があってもいい。うちの会員にも『開けない』を選ぶ現場はあります」とコメントした。露木氏は元第三鑑定センターの鑑定補助員で、協会の自主三原則「開けない・急かさない・記録を残す」の提唱者でもある。
■ 割れたままの町内会
深川町内会は開封の是非をめぐり意見が割れたまま、この日の審議を迎えた。9月12日の住民説明会に参加した町内会役員の一人(60代)は「開けてほしい人も、そっとしておいてほしい人も、どちらの気持ちも分かる。今回は全部を開けるわけではないと聞いて、少し肩の荷が下りた気はします」と話す。一方、別の住民は「結局、来月には何か開くわけでしょう。落ち着かないのは変わらない」と複雑な表情を見せた。
説明会では新たな分析結果の発表はなく、刻印の書体差・液面の性質いずれも既報の「未解明」の水準が維持されたことが、16日の審議にもそのまま持ち越された形だ。委員会はこの日、質疑で出た住民の懸念——とくに開封作業中の安全確保と、結果の速やかな公表を求める声——を記録に残すことを確認した。
■ 学術公開は「開封後」に先送り
深川漂着物の詳細な学術データについて、第三鑑定センターは従来「検疫委員会の開封可否の結論後」に公開する方針を示していた。今回の決定を受け、公開は開封作業の完了後、早ければ10月に入ってからになる見通し。同位体分析の詳細な数値や、刻印の書体比較の資料もこの中に含まれる予定という。
センター幹部は「1点を開ければ、残り2点について何か言えるようになるかもしれないし、逆に言えなくなるかもしれない。今の時点でどちらとも申し上げられない」と述べるにとどめた。液面の性質、刻印の由来——いずれも、開封を経てなお「分からない」という結論に終わる可能性は残されている。委員会は開封後、改めて深川町内会向けの説明会を開く方針。
