外交団が見られなかった夜景を、社会科見学の80人が見た 第1窓「灯しの街」
羽田沖の第1定常窓で11日午後、市立小学校の社会科見学の児童80人を含む一般見学枠の来場中に「灯しの街」が開口した。前日、窓条約交渉のため特別視察したアメリア代表団は在室2時間のあいだ一度も開かず引き揚げている(既報)。窓は不定期にしか開かない——その原則を、大人と子どもがそれぞれの形で確かめた二日間だった。
■開かなかった日、開いた日
10日、窓条約の実務協議のため来亰したアメリア合衆国代表団が第1定常窓を特別視察した際、窓は2時間の滞在中、一度も開かなかった(既報)。翌11日午後、一般抽選の見学枠で訪れた市立小学校の社会科見学の児童80人を含む来場者の前では、「灯しの街」が18分間、開口した。次元調査課の担当者は「意図してこうなったわけではありません。窓は、こちらの都合には合わせてくれないので」と話した。
■抽選倍率と「見えた」報告
第1窓の一般見学は1日80人、抽選制で運用されている(既報)。倍率は既報のとおり紙面の定番だが、今回は近隣の市立小学校が団体枠で申し込み、当選した。窓室の担当窓番によれば、開口は児童の到着からおよそ40分後、予告なく始まった。石造りの高層都市の夜景に似た光景——実際には現地時間で夜だったとみられる——が、ガラスの向こうに広がった。児童の一人は「本当に、街があった」と担任教諭に報告したという。教諭は「教科書で読んだ『一方通行』の意味が、初めて分かったと言う子もいました。送れない、渡れない、それでも確かにある、という感覚です」と語った。
■代表団は「見なかった」という事実だけを持って離日
窓条約の実務協議は11日、最終日を迎えている(別項既報)。アメリア代表団は11日夜に離日する予定で、結局、滞在中に「灯しの街」を実際に目にすることはなかった。次元調査課の担当者はこの点について「窓が開かなかったこと自体に、特別な意味はありません。第1窓の平均開口時間は50分程度、開かない日もあります」と改めて説明した一方、「ただ、外交上の巡り合わせとしては、よく話題になりそうな話だとは思います」とも付け加えた。
■窓番の仕事と「向こうの朝」
窓室に日誌を残す窓番たちの記録には、開口のたびに見えたものの簡単な記述が残る。今回の開口では、市場らしき通りに灯りがともり、手順書のような札(市民の口語で「式」)を掲げて歩く人影が数人確認されたという。第7系統の観測はすでに3年目に入っているが、向こうの住人がこちら側の存在を認識している証拠は、依然として得られていない。次元調査課はこの点についても「分かっていないことは、分かっていないと発表します」という局の従来の立場を維持している。
■来場者の反応と今後
見学を終えた児童からは「もう一回見たい」という声が相次いだといい、担当者は「抽選なので、また当たるかは分かりません」と苦笑しながら答えたという。次元調査課は年内に予定する外部有識者検討会(既報)で、見学の商業化や倫理論争とあわせ、こうした「見られる日と見られない日の巡り合わせ」についても議題に含める可能性があるとしている。窓の開閉は、今日もTDAの予報の隣に小さく載る。
