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次元調査

第4窓「巨獣の原野」、集落の引っ越しが完了か 跡地に石を並べる影 窓番「見送りだと思う」

2026年(透暦52年)9月15日 (科学部・次元調査・戸田輪) English

©東亰新報

城北・王子の丘の第4定常窓「巨獣の原野」で7日から観測されてきた集落の北への移動(既報)が、15日早朝の開口で一区切りを迎えたとみられることが、次元調査課の記録で分かった。集落があった一帯に人影はほぼ見えなくなり、最後に残っていた数人が、元の場所に石のようなものを並べて去っていく様子が記録された。担当の窓番は日誌に「見送りだと思う」と書いた。

■早朝の開口、48分から一転して103分

城北・王子の丘にある第4定常窓「巨獣の原野」(第63系統)は15日午前5時51分に開き、午前7時34分に閉じた。103分間の開口は、13日の初確認からこの1週間でもっとも長い部類に入る。次元調査課によると、開口直後の窓の向こうには、これまで集落があった一帯にほとんど人影が見当たらなかった。14日早朝の時点で「少なくとも20人」が巨獣の群れを追って北へ歩き出していたことは既報のとおりで、この日の観測は、その続きにあたる。

窓番が最初に気づいたのは、静けさだったという。「いつもは、遠くからでも小屋のあたりに動きがあった。今朝はまず、それが無いことに気づいた」と、担当した窓番は同僚に語ったという(次元調査課は窓番個人の氏名を明らかにしていない)。双眼鏡を向けると、かつて小屋が並んでいた斜面はほぼ更地に近い状態になっており、地面に残る円形の跡だけが、そこに何かが立っていたことを示していた。

■最後の数人、石を並べて去る

開口から40分ほどが過ぎたころ、窓の視野の隅に数人の人影が現れた。次元調査課の記録では「少なくとも5」。彼らは更地になった跡地の一角に集まり、しゃがみ込んで何かをしていたが、双眼鏡ごしに確認できたのは、白っぽい石のようなものをいくつか、地面に並べていく動作だった。石は5個から7個程度とみられ、明確な形(円形か列か)までは今回の観測では判別できなかったという。

作業を終えた人影は、それぞれ荷物とみられる包みを背負い、他の集落の者たちが向かったのと同じ北の方角へ、振り返ることなく歩き去った。窓が閉じる直前まで観測を続けたが、その後、視野内に人影が現れることはなかったという。

■「見送りだと思う」

この日の当直だった窓番は、日誌にこう記した——「集落は、たぶん、もう無い。最後に残った人たちが石を置いていったのは、見送りだと思う。誰かを送ったのか、何かを送ったのか、それとも、ここに何かが来ることを待っているのか、分からない」。次元調査課によれば、窓番の日誌に個人的な解釈が書かれること自体は珍しくないが、それが記事として引用されるのは、8日の「灯しの街」の窓番日誌(既報)以来2件目になるという。

次元調査課の担当者は取材に「集落の全員が移動したのか、一部が残っているのかは、視野の外まで確認できない以上、断定できない」と述べたうえで、「跡地に置かれたものが何のためかも含め、現時点でわれわれに分かっていることは限られている」と繰り返した。石の性質(自然のものか加工されたものか)についても、窓越しの観測である以上、判別は難しいという。

■巨獣が先か、集落が先か、なお不明

13日の観測時点から、次元調査課は「巨獣が先に動いたのか、集落の側が先に動いたのか、順序は分からない」との立場を崩していない。今回、集落側の移動が一区切りついたように見えることで、両者の関係についての手がかりが増えるかとの問いに、担当者は「順序についての新しい材料は、今回の観測では得られていない」と述べるにとどめた。

湯呑みの振動は、14日の記録(5センチ、稼働以来最大)と比べて今回は目立った動きがなかったという。窓室に置かれた湯呑みは、巨獣の群れの足音とみられる低周波の揺れを日常的に記録しており、次元調査課はこれを簡易な指標として使っている。

■11月の検討会の議題に追加

第4窓の一連の動きは、既報の第5窓(「剣の国」)の長時間開口、第2窓(「機構の海」)の53時間開口と並び、11月に初会合が予定される外部有識者検討会の議題にすでに加わっている。同検討会は「見ていていいのか」という倫理面の論点と、長時間・広範囲の観測が続いた場合の対応方針を扱う予定で、次元調査課は「第4窓の今回の動きも、重要な事例として報告する」としている。

窓の向こうの世界に名前を付けるのは、あくまで調査課の「仮称」であり、本紙もこれに従う。担当記者は「集落が『引っ越した』のかどうかさえ、実は分かっていない。分かっているのは、更地になったことと、石が置かれたことだけだ」と話す。次の開口がいつになるかは、他の窓と同様、予報できない。

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