抜かない刀:中休みの型
連載「抜かない刀」第4回。月2回更新のこの枠が今回は掲載週にあたり、刀士・鹿目千歳が11月8日の尾張戦再戦を前にした稽古の「中休み」について書く。
このコラムは月2回しか出ない。前回を書いたのは北都戦の前で、今回は尾張との第4節(11月8日)を前にしている。間が空くたびに、何を書けばいいのか少し迷う。迷っているうちに、これもまた「中休み」なのだと気づいた。
剣技の稽古には、ずっと詰めて打ち込む週と、あえて力を抜いて体を休ませる週がある。休ませる週のことを、うちの流派では「中休みの型」と呼ぶ。型と言うには大げさな、ただの休み方なのだが、休み方にも巧い下手があるというのが師から受けた教えだ。
今週は若手の水無瀬流の門下生たちと合同で、打ち込みをせずに足運びだけを繰り返す稽古をした。刀を抜かない日が続くと、周りは「調子が悪いのでは」と気にするが、実際は逆だ。抜く機会を減らすほど、抜く瞬間の判断が澄んでくる。既報の、流派を持たない新人刀士が窓室警備の初日に一度も抜かなかったという話を思い出した人も多いと思うが、あの話とこのコラムは、たまたま似ているだけで、別の話として書いている。向こうは職務の話、こちらは稽古の話だ。
11月8日の尾張戦は、第3節で負けた相手との再戦になる。負けた理由を型のせいにするのは簡単だが、たぶんそれは半分しか正しくない。残りの半分は、休み方を誤ったことにあったのではないかと、今になって思う。だから今回の中休みは、いつもより少し長く取った。
抜かない回数が増えるほど評価されると以前書いたが、それは抜く機会そのものを避けているわけではない。中休みの型も同じだ。休むことを避けているわけではなく、休み方を選んでいるだけだ。11月8日、どちらの型が正しかったかは、結果が教えてくれる。
