「見られているかもしれない」、街の受け止めは存外に静かだった
向こうが、こちらを見ているかもしれない。第2窓の「相互認識」発表は、2日連続で街を沸かせた第5窓の地図公開とは少し違う受け止め方をされた。驚きより先に、静かな実感が広がった一日だった。
■ 驚きより先に、静かな実感
4日朝の発表を受け、湾岸倉庫街・第4号倉庫の第2窓周辺では、既報(3日)の第5窓地図公開のときのような見物客の急増は起きなかった。第2窓はもともと一般見学の対象外で、建物の外から眺めることもできないためだが、本紙が街で聞いた反応も、驚きというよりは静かな実感に近いものが多かった。通勤途中の会社員男性(44)は「地図は『すごい』だったけど、数えてたは『そうか』という感じ。向こうも、こっちの変化に気づくんだなと」と話した。
■ 灯窓茶房でも話題に
羽田沖の「灯窓茶房」(既報)の常連客たちの間でも、3日の地図公開に続き、4日は第2窓の件が話題になった。店主の宮井朔さん(38、既報)は「地図のときは『同じ世界だ』で盛り上がったけど、今日は『見られてるかもしれない』で、みんな少し声が小さくなった気がする」と振り返った。常連の女性(34、既報)は「悪いことが起きたわけじゃないのに、なんだか部屋の電気をつけたくなる話だった」と笑った。
■ 窓番の一人「湯呑みは今日も動かなかった」
匿名を条件に取材に応じた窓室の窓番の一人は「毎晩、向こうを見ているのは自分たちの方だと思っていた。見られているかもしれないと言われると、急に窓室の椅子の座り心地が変わった気がする」と話した。ただし「湯呑みは今日も動かなかった。巨獣の窓とは違って、第2窓はいつも静かだ」とも付け加え、過度な動揺は見せなかった。
■ 学校でも「数える」が流行
深川北小では、既報の「同じ夢」アンケートを担当する教員が「子どもたちが休み時間に、何でも八まで数えるようになった。向こうが数えていたと聞いて面白がっているだけで、怖がっている様子はない」と明かした。市教育委員会は特別な対応は予定していないとした。
■ 消費生活センター、便乗商法に改めて注意
市消費生活センターは4日、3日に続き注意を呼びかけた。「『観測パルスと同じ数』をうたう商品や、『向こうに気づかれる方法』を教えるという情報商法が出回る可能性がある」とし、第2窓の観測記録そのものは国の管理下にあり、個人が「合わせる」ことはできないと説明した。
■ 記者から
3日の地図公開は、街の多くの人が「嬉しい驚き」として受け止めた。だが今日の「数えていた」は、嬉しいとも怖いとも言い切れない、もう少し複雑な顔つきで街に広がった気がする。見ているつもりで、実は見られていたかもしれない――その落差に、人はすぐには歓声を上げない。代わりに、部屋の電気を少しだけ明るくする。それもまた、この街の日常の一部だ。




