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白瀬ユキ「岸の子守唄」一度きりの生放送、無事終える 録音なし、アーカイブもなし

2026年(透暦52年)9月21日 (文化部・芸能・小柳ちひろ) English

©東亰新報

協会ラジオは20日夜、既報のとおり歌手・白瀬ユキによる「岸の子守唄」公式カバーの一度きりの生放送を実施した。採譜者・岸浦汐(74)の口移し指導どおり、対訳を伏せたまま全13番中3番を歌い上げ、既報の方針どおりアーカイブ・再放送はなし。23日の音楽祭「岸辺の歌」での生披露を前に、聴き逃した人からの反響が21日も収まらない。

■ 「一度きり」を、本当に一度きりで

協会ラジオの深夜枠で20日午後11時から放送された特別番組は、既報のとおりアーカイブ・再放送の予定がない一度きりの生放送だった。歌手・白瀬ユキ(31)が、8月から週2回、岸浦汐の直接指導を受けてきた「岸の子守唄」の公式カバーを、全13番のうち3番まで披露した。番組は録音そのものを制作側が意図的に行わない形式で組まれ、局のスタッフは「アーカイブを作らない、というのは編成としても異例の判断だった」と明かした。

■ 対訳は今回も伏せたまま

既報の岸浦汐の方針どおり、歌詞の意味には一切触れずに放送は進行した。番組内で白瀬は「歌詞の意味は、今も教わっていません。分かっているのは、海と窓と帰り道の3語だけだと聞いています」と語り、司会者が対訳を尋ねる場面もなかった。既報のとおり子守唄の歌詞は「意味未詳」とされ、報告書も「不明」ではなく「未詳」の語を採用してきた経緯がある。岸浦は番組の最後に短く登場し、「教えないのではなく、まだ教える言葉を持っていないだけです」とだけ述べた。

■ 録音禁止、口移し稽古の緊張感

白瀬は放送前、8月からの稽古について「録音してはいけない、という条件で始まった稽古は初めてだった。毎回、その場で覚えて、その場で忘れないようにする。生放送はその稽古の延長線上にあると思っていた」と振り返った。本番では3番のうち2番目で一瞬、旋律の入りがわずかに乱れる場面があったが、白瀬はそのまま歌い続け、放送後の取材では「乱れたことより、乱れたまま最後まで歌えたことのほうが、自分にとっては収穫だった」と話した。

■ リスナーの反応、「聴けてよかった」「聴き逃した」の両方

放送直後から、協会ラジオには例年にない量の反響が寄せられた。局の担当者によると、21日昼までに届いた感想の多くは「聴けてよかった」という声だった一方、放送時間帯に気づかなかった、あるいは仕事で聴けなかったというリスナーからの「アーカイブは本当にないのか」という問い合わせも相次いだという。局は「ないので、と申し上げるほかない」とアーカイブなしの方針を改めて説明した。

■ 23日への持ち越し

既報のとおり、白瀬は23日の音楽祭「岸辺の歌」でも同じ公式カバーを生披露する予定だが、こちらも全13番中3番までの披露にとどまる見通しで、原譜非公開(死後まで)の方針にも変更はない。既報の岸辺セブンの尾を使う振り付けの完成披露、柳亭岸八の新作落語「窓芸」ともあわせ、同音楽祭は白瀬にとっても「一度きりの生放送を終えたうえでの、もう一つの一度きり」になるという。

■ 岸谷タネさんの言葉を引いて

白瀬は取材の最後、9月7日の漂着記念日式典に「聴く係」として参列した岸谷タネさん(101、既報)の言葉を紹介した。「歌えないが、聞こえると炊事場が静かになったのを覚えている、とおっしゃっていたと聞きました。今夜、誰かの部屋が少し静かになっていたなら、それで十分です」。

■ 小柳ちひろ記者の視点

アーカイブを作らない放送、という決定を最初に聞いたとき、正直、もったいないと思った。だが21日、聴き逃した人たちの声を取材して回るうちに、考えが変わった。聴けなかった悔しさそのものが、23日への一番強い招待状になっている。この街のエンタメ面らしい、少し不便で、少し優しい仕掛けだと思う。

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