TDA概算要求、過去最大の1470億円 柱に観測点恒久化と「鐘」
TDAは31日、来年度予算の概算要求を発表した。総額は今年度比14%増の1470億円で、設立以来最大。湾岸部に増設した臨時観測点2カ所の恒久化、第三鑑定センターの人員増、防災無線で再開する鐘方式の警報整備費が柱となる。
■14%増、額より内訳
要求の総額1470億円は、今年度当初予算を約180億円上回る。伸び率14%は近年の平均(3%台)を大きく超えるが、担当者は会見で「額そのものより、恒久と臨時の線を引き直す要求だと見てほしい」と説明した。
主な内訳は、観測網の維持・整備に約620億円、鑑定・検疫に約410億円、警報と情報提供に約170億円、研究費と国際協力に約130億円。残りが人件費と庁舎管理となる。
■仮設のまま3年、観測点2カ所
観測点の恒久化は、今夏の湾岸部の透過指数の高止まり(既報)を受けた要求だ。対象は3年前に臨時で設けられた2カ所で、いずれも仮設のコンテナに測器を収め、電源は地上に這わせたケーブルで取っている。
冬季の高波でケーブルが浸かり、昨季は計11日の欠測が出た。恒久化すれば、基礎を打った観測棟と埋設電源に置き換わり、通年の連続観測が可能になる。要求額は2カ所で約38億円。
観測課の技官は言う。「臨時の観測点は、臨時のつもりで3回冬を越しました。データの欠けた日は、あとから埋められません。埋められないものを毎年増やしているのが、いまの状態です」
■人員増、4年連続の要求
第三鑑定センターの人員増は4年連続の要求となる。今回は鑑定補助員60人の増員を求めた。過去3年はいずれも満額を認められず、認められた分も養成期間を考えれば現場に立つのは2年先になる。
増員の内訳は、鑑定補助員60人のほか、検疫区画の保守要員10人。センターの検疫区画で長期保管が続く漂着物は、今年に入って過去最多となっている。
鑑定待ちは今夏、およそ4カ月に達した。要求資料には、待ち日数の推移を示す折れ線が1枚だけ添えられている。折れ線は4年前から、一度も下を向いていない。鑑定待ちは今夏、およそ4カ月に達した。要求資料には、待ち日数の推移を示す折れ線が1枚だけ添えられている。
■「鐘」に6億円
鐘方式は収容所時代に生まれた警報伝達法で、鐘の数で揺らぎの規模を伝える。停電時や機器障害時の補完手段として防災無線網に組み込む計画に、約6億円を計上した。実物の鐘を吊るす案は見送られ、無線塔のスピーカーから鐘の音を流す方式で設計が進む。
一世の女性(79)は、その音を覚えている。「三つ鳴ったら荷物を置いて出ろ、と教わりました。意味を考える前に足が動くんです。あれは、そういうふうにできている音でした」
同庁は今秋、湾岸の3地区で試験鳴動を行う方針だ。鳴らす前に周知の文書を配る、と担当者は繰り返した。一世でつくる互助団体からは「事前に知らせるなら、それはもう警報ではない」という指摘も出ている。同庁は「訓練と本番は、別に設計します」と答えた。
湾岸のある町会長(66)は言う。「うちの町会は高齢化していて、防災無線の言葉が聞き取れないという声が毎年出ます。音の種類で伝わるなら、そのほうがいい。ただ、三つ鳴った夜にどこへ逃げるかは、まだどこにも書いてありません。そこを一緒に決めてほしいんです」同庁は今秋、湾岸の3地区で試験鳴動を行う方針。鳴らす前に周知の文書を配る、と担当者は繰り返した。
■待ち時間の「見える化」も
予備調査業をめぐる混乱(既報)を踏まえ、鑑定待ち期間の「見える化」システムの構築費も盛り込まれた。届け出番号を入力すれば、自分の漂着物が何番目に控えているかを照会できる仕組みで、初期費用は約9億円。
火浦誠局長は会見でこう述べた。「半世紀観測を続けて、分かっていないことは減るどころか増えました。分かっていないと言い続けるためにも、観測は要ります」
■査定率83%の壁
財務当局との折衝は秋から本格化する。過去5年、同庁の要求に対する査定率は平均で83%だった。削られてきたのは主に人件費と庁舎関係で、観測網の整備費は比較的通りやすいとされる。
ある財務省関係者は「観測はやめられない、というのは分かります。ただ『分からないから続ける』は、額の根拠にはなりにくい。何が分かるようになるのか、という説明を毎年お願いしています」と話す。
同庁は今回、要求資料に初めて「不明事項一覧」という3ページの別紙を付けた。液面の挙動、記録の残っていない微小変動、透過指数の季節変動の上限——現在整理できていない論点が37項目並ぶ。別紙について問われた火浦局長は、こう述べた。「予算を取るための資料ではありません。取れなかったときに、何が分からないままになるかの一覧です」財務当局との折衝は秋から本格化する。過去5年、同庁の要求に対する査定率は平均で83%だった。

