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「昼の刀士、夜の監視員」 秋の合同訓練、深川の封鎖線で 鹿目千歳さん「刀は抜かなかった回数で」

2026年(透暦52年)9月9日 (社会部・汐入梨花) English

刀士会と監視業組合の秋の合同訓練が9日未明、深川2丁目の封鎖線を使って行われた。市民の口語で「侍」と「忍者」と呼ばれる二つの職能が、揺らぎ現場の夜間封鎖を想定して分業を確認した。刀士の鹿目千歳さん(41)は排除措置の同行27回で抜刀3回。「刀は、抜かなかった回数で評価してください」と話した。

午前3時、深川2丁目。8月に金属容器3点が漂着した現場(既報)の周囲に、訓練用の封鎖線が張られた。集まったのは日ノ國刀士会東亰支部の刀士14人と、監視業組合東亰支部の潜行監視員11人、TDA生物管理課と警察の担当者。訓練は「封鎖線内に特定漂着種1体、取り残された住民2人」という想定で始まった。

■まず、静けさ

最初に動いたのは監視員だった。暗色の機能服の11人は、合図もなく封鎖線の内側に散り、5分後には無線で「住民役2人、確認。北側のアパート2階」と報告した。記者は同じ路地にいたが、足音を一度も聞かなかった。

監視員の霧生伊織さん(29)は訓練後、「聞こえないのが仕事です。私たちの仕事は見つけることと、位置を言うこと。そこから先はしません」と話した。潜行監視員は2005年、九霧後の制度改革で生まれた職能だ。封鎖線の内側に残された人を、音を立てずに確認する。「九霧の12人」の教訓が、この仕事の始まりにある。

■次に、刀士

監視員が「特定漂着種役、資材置き場の裏」と報告すると、刀士と生物管理課の捕獲班が動いた。刀士は紺の制服に、柄に登録番号を刻んだ特例刀を左腰に差している。先頭は鹿目千歳さん。捕獲班が網を張るあいだ、鹿目さんは対象役の正面に立ち、刀に手をかけたまま、抜かなかった。訓練は「捕獲」で終わった。

「今日も抜きませんでした。これでいいんです」と鹿目さん。刀士は1994年の刀剣携行特例法で生まれた免許職で、銃弾が通り抜ける特定漂着種がいることから、刃物の携行が認められた。なぜ刃物が効くのかは分かっていない。「分かっていないから、刀は最後の、最後の手段です。抜く前に、できることが全部ある」

鹿目さんは排除措置の同行27回で、現役の刀士で最多。抜刀は3回。「27回のうち24回、抜かずに済んだ。その24回を評価してほしい。3回のほうは、今でも夢に見ます」

■「侍」と「忍者」と呼ばれて

海外の報道では、刀士は「サムライ」、監視員は「ニンジャ」と呼ばれる。アメリアの配信ドラマ「TOKEI SAMURAI」は東亰でも話題になったが、鹿目さんは「見ていません。袴で走る侍は、うちにはいません」と笑った。監視業組合の甲賀総一郎支部長(64)は「忍者と呼ばれるのは構わない。ただ、手裏剣は投げないし、顔も隠さない。顔を隠す者は監視員ではない」と、取材のたびに言う決まり文句を、この日も言った。

若い世代には、両方とも人気の職業だ。刀士免許の倍率は約20倍、監視員の免許試験も10倍を超える。「侍になるか、忍者になるか」は高校生の進路の定番の冗談で、両方受けて両方落ちる者も多い。

■秋の本番へ

刀士会と組合の合同訓練は年2回。今回は、8月30日の湾岸倉庫街の排除措置(既報)で初めて夜間実施があったことを受け、夜間の分業を重点にした。生物管理課の担当者は「夜は、監視員が先に入って位置を知らせ、刀士と捕獲班が動く。この順番を崩さないことが安全の全部です」と話した。

訓練は午前4時40分に終わった。刀士たちは刀を点検して車に戻り、監視員たちはいつの間にかいなくなっていた。封鎖線の外で見ていた近所の男性(58)は「終わったのか。忍者のほうは、来たのも帰ったのも見なかった」と話した。

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