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科学

ヨルサギ、特定漂着種に正式指定 「駆除せず、まず数える」12例目

2026年(透暦52年)8月31日 (社会部・汐入梨花) English

TDA生物管理課は31日、城北の都市緑地などで定着が確認された漂着生物「ヨルサギ」を特定漂着種に正式指定した。指定は12例目。捕獲・駆除ではなく個体数管理と生息域モニタリングを柱とし、秋から初めての本格的な生態調査に入る。

■幼鳥確認から3週間

指定は、7月末から8月にかけて緑地内で幼鳥3羽が確認されたこと(既報)を受けたものだ。繁殖が成立していれば、一時的な飛来ではなく定着とみなす——というのが同課の判断基準で、幼鳥の確認から指定までは3週間だった。

ヨルサギが最初に記録されたのは4年前、城北の運河沿いだ。当初は在来のサギ類の亜種とみられていたが、翼の付け根の骨格と、鳴かないという特徴から、2年前に漂着生物として分類が改められた。現在、緑地とその周辺で確認されているのは推定で40羽前後。数字に幅があるのは、夜にしか動かないためだ。

■カメラ12台、まず3年

指定に伴い、緑地には観測カメラ12台と標識調査の拠点が置かれる。捕獲は標識の装着に限られ、装着後はその場で放される。

同課は「在来のサギ類との競合の有無を、まず3年かけて数えます。生態はほとんど分かっていない、というのが現在地です」と説明した。餌の内容、繁殖期、越冬の有無——いずれも確定していない。

特定漂着種の制度は透暦40年代に作られ、これまでの11例のうち、駆除が行われたのは1例だけだ。制度設計に関わった研究者は当時をこう振り返る。「数える前に減らすと、減ったのかどうかも分からなくなる。それだけの理由で、この順番になっています」

過去11例の特定漂着種のうち、3年の調査を終えて指定が解除されたのは2例。いずれも「定着が確認できなくなった」ことが理由で、生態が解明されたための解除は一度もない。

■餌付け禁止、違反に過料

指定により、餌付けと営巣地への接近は禁止され、違反には過料が科される。夜間の見物人の増加を受けた措置だ。

この夏、緑地の池の周りには三脚が並んだ。強い照明を当てて撮影する人が出て、区には苦情が20件以上寄せられている。区は緑地の夜間閉鎖の開始時刻を午後10時から8時に繰り上げた。

近隣に住む女性(52)は「窓を開けても、鳴き声はしません。だから増えていても分からないんです。分からないものが庭先にいるのは、慣れるまで少しかかりました。いまはもう、いるものとして暮らしています」と話す。

■区の負担と、看板の文言

指定に伴う現場の作業は区が担う。カメラの電源工事、標識調査の拠点となるプレハブの設置、そして看板だ。区の担当者は、看板の文言に2週間かけたという。

「『危険』と書けば人は近づきません。でも、危険だとは分かっていないんです。『触らないでください』では弱い。結局、『指定種です。餌を与えないでください。近づかないでください』の3行にしました。理由は書いていません。書けることが、まだないので」

看板は緑地の入り口と池の周囲、計14カ所に取り付けられた。

■「あの静けさは大したもの」

緑地で20年鳥を見てきたという男性(68)は、指定の日も日没前から折りたたみ椅子に座っていた。

「サギに似ているが、首のたたみ方が違う。在来のはZに折るでしょう、あれはもっと深く、ひと巻き余分に入れる感じです。夜、水面すれすれを音もなく飛ぶんです。羽の音がしない。指定されようがされまいが、あの静けさは大したものですよ」

男性は椅子の脇に、日付と天気だけを書いた大学ノートを積んでいる。20年分で17冊になるという。「ヨルサギが来たのは4年前の10月です。その日は書いてあります。何羽いたかは、書いていません。数えるものだと思っていませんでしたから」

男性は続けた。「役所が数えるというなら、それでいい。私は20年、数えずに見ていました。数えないと守れないというのは、まあ、そういうものなんでしょう」

■秋から本格調査

本格調査は9月下旬に始まる。初年度は個体数の推定と行動圏の把握が中心で、在来種の営巣数との比較は2年目以降になる。指定の見直しは3年後を予定する。

同課の担当者は最後にこう付け加えた。「3年たっても、分からないままかもしれません。その場合は、分からないと書きます」

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