ロボット「永代預かり」、申し込みが今月倍増 「本人の意向」欄の新設が後押し
役目を終えた共生ロボットを有償で預かり続ける「永代預かり」の申し込みが、今月に入って通常の約2倍のペースに増えていることが25日、常磐堂(京橋)への取材で分かった。既報(23日)の共生ロボットの標準使用年数延長と「本人の意向」聴取欄の新設が、申し込みを後押ししているとみられる。
■ 300台超から、さらに増えて
既報(9月1日)のとおり、仏具店から転業した常磐堂(京橋)の永代預かりは8月末に300台を超え、新規申し込みは3カ月待ちとなっていた。当主の常磐徳三さん(67)によると、申し込み件数は10月に入ってから通常月の約2倍のペースに増え、預かり台数は25日時点で320台を超えたという。常磐さんは「法律のことが決まったわけでもないのに、これだけ反応があるとは思わなかった」と話す。
■ きっかけは「四号」と、今週の指針
常磐さんが申し込み増加の一因と見るのは、既報の機巧走「機巧祭」(10月4日)で常磐堂の預かりロボット「四号」が初入賞したことと、今週22日に労働組合「共生協働者組合」と日ノ國ロボット工業会が合意した共生ロボットの標準使用年数延長・「本人(本機)の継続稼働への意向」聴取欄の新設(既報23日)の二つだという。「四号が稽古の日に誰より早くシャッターの前で待っている、という記事を読んで来ました、という方が何人もいた。今週の指針のニュースのあとは、電話の件数が目に見えて増えた」と常磐さんは振り返る。
■ 新規申し込み、「意向欄」への関心
新規に申し込んだ利用者の一人、京橋在住の女性(55)は「父が長年使っていた見守り型のロボットを、処分するという言葉を家族の誰も言い出せずに2年そのままにしていた。今週のニュースで『本人の意向』という考え方を知って、ここに託すなら、処分ではなく違う形があるんだと思えた」と話す。常磐堂では、来年4月の指針運用開始を待たず、新規の預かり契約にも簡易な意向確認の記録を試験的に添えるようにしているという。既報(24日)の本紙編集部の掃除ロボット「二号」の意向確認と同じ考え方で、常磐さんは「本紙さんの記事を読んで、うちも先にやってみようと思った」と笑った。
■ 棚、さらに二列増設へ
既報どおり9月から棚を二列増やしたばかりだが、常磐さんは「このペースが続くなら、年明けにもう二列増やさないと間に合わない」と話す。従業員2人体制もそろそろ限界だとして、新規採用も検討しているという。「位牌と同じで、手を合わせる場所が要る。うちは商売柄、それだけは分かるんです、と以前にも申し上げたが、今はそれを分かってくれる人が、思っていたより多いんだと感じている」。
■ 起動日、変わらぬ儀式
毎月第一土曜の「起動日」の運用は既報どおり変わらない。朝、倉庫の照明が入り、常磐さんと従業員が棚の端から順に電源を入れていく。今月の起動日には、新規利用者の見学も数件あったという。「見学の方には、順番は変えない、ということだけ必ず説明します。帳面が合わなくなるので、と言うと、皆さん笑ってくれます」。
■ 法制審の行方とは、別の場所で
既報(23日)どおり、ロボット法制審議会は第15次答申に来年1月26日の「集中討議」という初の確定期日を設けたばかりで、準人格案そのものの行方はまだ見えない。常磐さんは「法律が決まれば、うちの商売はなくなるかもしれない。それでいいんです、決まらないから皆さんうちに来るんですから、と前にも言った。でも今は、法律が決まる前から、できることをやってみようという空気が、こちら側にも向こうにも出てきた気がする」と話した。倉庫の棚に新しく下がった紙の札には、まだ日付だけが書かれている。預けた家族の名字が書き込まれるのは、これからだ。



