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科学

深川漂着物、住民説明会に120人 「分からないことは分からないと言う」 16日審議へ

2026年(透暦52年)9月12日 (社会部・真柴湊) English

©東亰新報

第三鑑定センターは12日午後、深川2丁目の漂着物をめぐる住民説明会を深川の区民館で開いた。既報のとおり16日の検疫委員会で開封可否が審議されるのを前にした場で、約120人が参加した。新たな分析結果の発表はなかったが、質疑は1時間半に及んだ。

■区民館、開始前から満席近く

深川の区民館で12日午後2時に始まった説明会は、既報のとおり地元町内会向けに告知されたものだが、聴講は希望者に開かれており、開始15分前には用意された椅子がほぼ埋まった。主催の第三鑑定センターによると、参加者は最終的に約120人。8月21日の漂着から3週間が過ぎてもなお関心の高さが衰えていないことをうかがわせた。

■「振り出しではなく、一つ消えた」

冒頭、担当研究員が既報の経緯――9月2日の作業部会報告で計測系・画像処理そのものに異常がないと確認されたこと、液面の像が容器を傾けても追従しない現象は「対象の性質に起因する可能性が高い」とみられていること――をスライドで振り返った。研究員は「疑うべき対象が一つ消えたという意味で、これは前進です」と述べ、9日の会見と同じ表現を住民の前で繰り返した。会場からは「同じ説明を聞くのはこれで何度目か分からないが、進んでいないわけではないと分かる説明の仕方だった」(自営業、55)という声が漏れた。

■刻印の書体差、質問集中

質疑では、容器3点にわずかに異なる書体の刻印がある点への質問が相次いだ。ある参加者は「刻印が違うということは、由来も違うかもしれないということですよね」と既報の町内会長の疑問を代弁するように尋ねた。研究員は「複数由来の可能性は否定も肯定もできない段階にある。書体の解析は続けているが、今日の時点で新しい結論はない」と答え、「分からないことを分からないとしか言えないのが、正直今の状況です」と繰り返した。

別の参加者(70代女性)は「危ないものではないんですよね、と聞きたいだけなんです」と質問し、研究員は「危険性を示す所見はこれまでのところ確認されていません。ただし、それは『安全だと証明された』こととは違います」と、慎重に言葉を選んで応じた。

■「開けない・保管継続」も議題に

既報のとおり、16日の検疫委員会では「開封せず保管継続」も初めて正式議題に上がる見通しが説明された。会場からは「開けないという結論も、決着の一つだと思っていいのか」との質問が出た。研究員は「保管継続も、審議の結果としての一つの結論になり得る。永遠に先送りにするという意味ではない」と説明。これに対し、町内会の役員(64)は「開けても開けなくても、なぜそう決めたかさえ分かれば、住民としては納得できると思う」と話した。

■町内会長「聞きたかったことは聞けた」

既報の町内会長(68)は説明会後の取材に「結論そのものより、なぜそう判断するのかを聞きたい住民が多い、と事前に伝えていた。今日はその部分にきちんと時間を割いてもらえた」と評価した。一方で「16日に何かが決まっても、その先まだ続く話だという覚悟は、みんな持っていると思う」とも述べ、長期化を織り込む住民感情をにじませた。

■監視測定、1日2回への移行完了を改めて説明

既報のとおり監視測定は1日3回から2回への移行が完了しており、この日もあらためて説明された。第三鑑定センターは「異常の兆候がない状態が続いており、頻度を下げても検知体制は維持できる」との判断を示し、周辺の健康被害報告がこれまでのところないことも重ねて強調した。会場からは特段の異論は出なかった。

■学術公開の順序、変更なし

液体の詳細データの学術公開を検疫委員会の結論後とする既報の方針についても質問が出たが、研究員は「先にデータだけが独り歩きすると、結論に予断を与えかねない。順番は変えない」と従来どおりの説明を繰り返した。ある大学院生を名乗る参加者が「研究者としてはもどかしいが、筋は通っていると思う」と会場でつぶやくのが聞こえた。

■記録は16日の審議へ共有

第三鑑定センターは、この日の質疑応答の内容を記録し、可能な範囲で16日の検疫委員会にも共有する方針を改めて示した。担当研究員は説明会の締めくくりに「答えが出ないまま長く続いている案件だが、分からないことを分からないと言い続けることも、鑑定の仕事のうちだと思っている」と、9日の会見と同じ言葉で結んだ。参加者の一人からは「同じ言葉を二度聞いて、やっと本気で言っているんだと分かった」との感想も聞かれた。

■3週間の暮らしの変化

説明会の後半では、生活面での質問も出た。現場近くに住む主婦(48)は「規制線が張られていたころは子どもの通学路を変えたが、今はもう元に戻している。それでも、あの容器がまだあそこにあると思うと、完全に忘れることはできない」と話した。研究員は「容器は既報のとおり第三鑑定センターの隔離区画で保管されており、発見現場そのものには何も残っていない」と改めて説明し、生活への直接の影響がないことを強調した。

会場には既報の第31系統・第148系統・第149系統といった別件の漂着物に関心を持つ参加者の姿もあり、研究員は「深川の案件と他の系統の案件は、担当も審議の場も別だが、住民の不安が『得体の知れない漂着物全般』に向きがちなのは理解している。個々の案件ごとに、分かっていることと分かっていないことを分けて説明するよう心がけている」と述べた。

■記者席から

会場の後方で取材した本紙記者の目には、3週間前の発見当初に比べ、参加者の表情に切迫感より根気強さのようなものが見えた。既報のとおり、この案件は振り出しに戻ったように見えて実際には少しずつ選択肢が絞られてきている。説明会の終盤、司会を務めた第三鑑定センターの広報担当者が「次回、もし新しい進展があれば、同じこの会場でまたお伝えします」と述べると、会場から小さくうなずく人の姿が目立った。

■今後

検疫委員会は16日、この日の質疑を踏まえて開封の可否を審議する。審議の結果は当日中に公表される見通し。第三鑑定センターは、結論が出た場合には速やかに深川の町内会へ説明する場を設けるとしている。

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