壁上競走・第21節 浪速WCが逆転勝ち、勝点44で並ぶ 汀島は自己最高10段目も及ばず
壁上競走リーグ第21節は11日夜、東亰RCの本拠地・亀戸第二壁面で行われ、2位・浪速WCが首位・東亰RCを7段3連-6段4連で下した。両チームの勝点はともに44となり、18日の最終節が事実上の優勝決定戦になる。東亰RCの汀島るい(17)は敗戦の中で自己最高の10段目に達した。
■満員の本拠地、序盤は東亰RC
前売り券が既報のとおり早いペースで売り切れた亀戸第二壁面は、11日夜、当日券の行列も含めて開場前から人であふれた。試合は東亰RCの総合力どおり、序盤は主催チームが優位に進めた。前半を終えた時点で東亰RCが4段2連、浪速WCが3段1連と、本拠地の利を生かした滑り出しだった。
■灘岡の「入りの速さ」、後半で発揮
流れが変わったのは後半だった。既報のとおり「入りの速さ」で知られる浪速WCの主将・灘岡潮(29)が、後半開始直後から立て続けに2段を追加。「差3という数字は、こっちからすれば近いとも言えるし、遠いとも言える。今夜、近くしたい」という試合前の言葉どおり、灘岡自身が流れを手繰り寄せた。灘岡は試合後、「本拠地の相手を、本拠地の空気ごと黙らせないと意味がない。うちの後半は、いつもこの壁で始まる」と、こちらも独特の言い回しで振り返った。
浪速WCはその後も終盤にかけて着実に段を重ね、最終的に7段3連で試合を締めくくった。東亰RCは終盤に反撃を試みたが6段4連にとどまり、本拠地での勝利を逃した。
■汀島、敗戦の中で自己最高10段目
東亰RCの第3走・汀島るい(17)は、既報のとおり19節で自己最高8段目、20節で9段目と記録を伸ばしてきたが、この日はさらに10段目に到達した。試合後、汀島はいつもの言い回しで「壁は昨日までの壁じゃないので。今日の壁は、10段目まで仲良くしてくれました」と振り返り、「勝てなかったのは事実です。段のことだけ喜んでいるわけにはいきません」と、表情を引き締めた。
既報のとおり10代選手として初の月間MVP選考が現実味を帯びているとされる汀島だが、リーグ広報は「個人記録と勝敗は別の基準で見る、という立場に変わりはない」と改めて説明した。会場には既報のアニメ「壁の上のルイ」第2期の発表以来目立つようになった若い観客も多く、10段目が決まった瞬間には対岸から高い歓声が上がったという。
■勝点、44で並ぶ
この結果、浪速WCは勝点を41から44に伸ばし、東亰RCの44に並んだ。既報のとおり両チームの対戦は今季これが初めてで、直接対決の結果を踏まえたリーグ側の順位付けの基準について、広報担当者は「n段n連の内訳は解説しない、という本紙と同じ立場を取っている。最終節の結果がすべてを決める、とだけ言っておきたい」と述べるにとどめた。残る第22節(最終節、9月18日)の対戦は近日発表されるが、勝点で並んだ2チームによる事実上の優勝決定戦となる公算が大きい。
■両監督のコメント
東亰RCの監督は試合後、「本拠地で、しかも前半をリードしていての敗戦は正直こたえる。ただ、選手たちは最後まで壁に食らいついていた。最終節に向けて悔いを残さないようにしたい」と話した。浪速WCの監督は「差3を追いかける展開は望むところだった。ただ、並んだだけで、まだ何も決まっていない。次はうちの選手たちにも本拠地の重みが乗る」と気を引き締めた。
■観客席の声
観客席には既報のとおり多くのファンが詰めかけた。会社帰りに駆けつけたという男性(38)は「差3が0になって、逆に最終節が楽しみになった。こんな凡人にも分かる盛り上がり方をする競技だとは思わなかった」と話した。10段目の瞬間を観戦していた大学生(20)は「解説なんて要らない。段が増えるたびに、みんなで数えるだけで十分楽しい」と笑った。
■今季をどう見るか
リーグ関係者の一人は、今季の東亰RCと浪速WCの勝ち上がり方について「東亰RCは走順のどこが欠けても崩れない総合力、浪速WCは灘岡の入りに賭ける一点突破型。似ていないチームが勝点で並ぶのは、リーグとしても珍しい」と分析した。既報のとおり両チームの直接対決は今季これが初めてで、過去の対戦データがほとんどない状態での初対戦がそのまま最終節への前哨戦になった格好だ。関係者は「データがない分、選手も観客も、今夜見たものだけを頼りに最終節を待つことになる。それがかえって良い」と話した。
■汀島世代、観客層の広がり
既報のとおり、亀戸第二壁面には汀島るいを目当てにした若い観客が目立つようになっている。この日は下校途中とみられる制服姿の生徒数人が対岸の立ち見スペースに並び、10段目が決まった瞬間には拳を突き上げて喜ぶ姿もあったという。学生壁上競走の関係者は「汀島世代という言葉が、選手だけでなく観客の側にもできつつある」と話した。一方で、遠野汀記者が既報のとおり長く追いかけてきたベテランファン層からは「盛り上がるのはいいことだが、n段n連の内訳を誰も気にしなくなるのは、それはそれで寂しい」との声も聞かれ、競技の楽しみ方が世代によって少しずつ変わりつつあることをうかがわせた。
■最終節へ
第22節は9月18日。組み合わせは既報のとおり近日発表される見通しだが、両チームが勝点44で並んだことで、最終節はリーグ史上でも屈指の注目カードになるとみられる。遠野汀記者は「n段n連の内訳を、今季もついに誰も説明しないまま、優勝が決まりそうだ。それでいいのだと思う」と結んだ。
