壁上競走、東亰RCが優勝確定 北都に8段1連-5段3連、汀島は自己最高11段目
壁上競走リーグの最終節・第22節は18日夜、勝点44で並んだ首位・東亰RCと2位・浪速WCがそれぞれ別会場で優勝を懸けて戦った。本拠地・亀戸第二壁面で北都を8段1連-5段3連で下した東亰RCが勝点47とし、敵地・堀川壁面で尾張に5段4連-6段3連で敗れた浪速WCの44を上回って優勝を確定させた。東亰RCの汀島るい(17)は終盤、自己最高となる11段目に到達している。
■ 22節を走り抜いて
思えば、この2チームの首位争いは第19節時点ですでに東亰RC勝点44・浪速WC38の差6から始まり、第20節で東亰RCが尾張に敗れて足踏みする間に浪速WCが北都を下して差3に詰め、第21節では浪速WCが東亰RC本拠地で直接対決を制して勝点を44に並べる、という展開をたどってきた。既報のとおり、両チームが最終節でも顔を合わせない組み合わせが決まったのは13日のことで、以来1週間、どちらが上に立つのかは最後の最後までもつれ続けた。
■ 同じ夜、二つの壁
壁上競走リーグの最終節・第22節が18日夜、行われた。既報のとおり勝点44で並ぶ首位・東亰RCと2位・浪速WCは直接対決せず、東亰RCは本拠地・亀戸第二壁面で北都と、浪速WCは敵地・堀川壁面で本拠地無敗の尾張と、それぞれ別の壁で、同じ時間帯に優勝を懸けて登った。両会場とも前売り券は完売しており、開場前から長い列ができていたことは既報のとおりである。
結果は、亀戸第二壁面で東亰RCが北都を8段1連-5段3連で退け、堀川壁面では尾張が浪速WCを6段3連-5段4連で下した。東亰RCは勝点を44から47へ伸ばし、敗れた浪速WCの44を上回ったことで、試合終了と同時に今季の優勝が確定した。両会場が同じ時間帯に決着したため、亀戸第二壁面のスタンドでは、隣接する運営本部から結果が伝えられた瞬間に歓声が上がった。
■ 汀島るい、自己最高の11段目
試合を決定づけたのは、第3走を担う汀島るい(17)の終盤の登りだった。7月以来「8段目」「9段目」「10段目」と自己記録を一段ずつ更新してきた既報の流れの中、今節ではさらに一段上の11段目に到達し、チームに勢いをもたらした。試合後、汀島は例によって淡々と「壁は今日の壁と仲良くするだけです。今日はたまたま、あと一段だけ仲良くできました」と話した。今季の勝敗にかかわらず更新を続けてきた自己記録が、優勝の懸かった夜に最高値を出した巡り合わせについては「狙ってはいません。狙うと、たぶん壁に嫌われます」と笑った。
チームメートの一人は「るいが上でどこまで行けるか、下で見ている自分たちのほうが息を止めていた」と振り返った。北都との対戦は序盤から東亰RCが主導権を握り、中盤で北都が段差を詰める場面もあったが、終盤の汀島の登りで突き放す展開になったという。
■ 堀川壁面、無敗を貫いた尾張
一方の堀川壁面では、今季ここまで本拠地で負けを知らなかった尾張が、その記録を最終節でも守り抜いた。既報のとおり「乾いた壁」と呼ばれる堀川壁面の日照条件を生かした尾張は、序盤から着実に段を重ね、終盤に浪速WCが追い上げたものの一歩及ばなかった。浪速WC主将で第1走を担う灘岡潮(29)は「入りは今季一番の速さで登れた。壁の性質のせいにするつもりはないが、最後の一段が今日は遠かった」と悔しさをにじませた。浪速WCにとっては、優勝を懸けた最終節での敗戦となったが、シーズンを通じて首位と勝点差わずかで並走した戦いぶりは、次節以降への評価につながるとの声もチーム内から出ている。
■ 学生壁上競走とも重なる熱気
同じ18日は、既報の学生壁上競走・秋予選でも準決勝を控えた各校が調整を進めていた時期にあたる。開幕から連勝を続ける私立豊洲工業の主将は、プロの最終節についても取材に触れ「僕らも将来はあの舞台に立ちたい。今夜の結果は、朝の練習前にみんなで速報を見ていた」と話した。既報のとおり秋予選には過去最多187校が参加しており、亀戸第二壁面という同じ壁を、プロと学生が入れ替わりで使う光景も、この競技らしい年中行事になりつつある。
■ 「同着時の順位規定」は今回、出番なし
既報のとおり、両チームが最終節でともに勝ち、勝点が並んだ場合の順位決定方式はこれまで非公表のまま伏せられてきた。今回は東亰RCが勝ち、浪速WCが敗れたことで両者の勝点に差がついたため、その規定が実際に使われる場面はなかった。リーグ広報は「規定は依然として非公表のままです。今季は必要がありませんでした」とだけ答えている。
■ 会場の警備と、抜かなかった一日
亀戸第二壁面の警備には、既報のとおり東亰刀士会の隊員が立った。前日付の本紙連載「抜かない刀」で会場警備の様子を綴った刀士・鹿目千歳も、この日は若手隊員を連れて北都戦の警備に当たっていたという。優勝が決まった直後の歓声の中でも、刀を抜く場面は当然ながらなかった。
■ スタンドとテレビの両方で
亀戸第二壁面の当日券窓口には、既報のとおり朝から列ができ、開場後は立ち見のスペースまで埋まった。観戦に来ていた親子連れの父親(37)は「子どもが今季から急に壁上競走を見るようになった。学校で汀島選手の名前を知らない子はいないくらい」と話した。試合は湾岸テレビの生中継でも放送され、既報の壁上バラエティのアナウンサーが実況を務めた。中継関係者によると、優勝が決まった瞬間の視聴率は今季の生中継で最も高い数字になる見通しだという。既報のとおり前売り券はリーグ史上最速のペースで完売しており、リーグ広報は「チケットの動きから見ても、今季は例年以上に注目を集めたシーズンだった」と総括した。
■ 「9割の日」を思い出させる夜
前日付の連載「抜かない刀」で刀士・鹿目千歳が綴った「9割の日のことを書く」という一節を思い出させる夜でもあった。優勝を懸けた一夜の熱狂は紙面の一面を飾るが、その裏には、既報のとおり187校が参加した秋予選のような、記事にならない練習の積み重ねが無数にある。汀島るいの11段目も、この夜だけで生まれたものではなく、8月末からの一段ずつの積み重ねの先にある。
■ シーズンを終えて
東亰RCの優勝により、今季22節にわたるリーグ戦は幕を閉じた。堀川壁面での尾張の本拠地無敗は最終節まで続き、シーズンを通じての記録として残ることになった。学生壁上競走の秋予選(既報)は決勝を11月に控えており、プロと学生、両方の壁上競走がしばらく紙面を賑わせそうだ。リーグ内では、既報のとおり汀島の10代選手初の月間MVP選出が今月末に見込まれているほか、シーズン終了後の恒例として、海外リーグからの誘いをめぐる噂も選手周辺でささやかれ始めている。真偽は今のところ確認されていない。
