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九重果林さん、次回作は「霧の外側」 九霧の関係者への聞き取り61人目

2026年(透暦52年)9月11日 (文化部・遠野汀) English

©東亰新報

在野研究者・九重果林さん(52)が次回作の主題に据える湾岸九霧事象について、聞き取りが61人目に達したことが11日、分かった。今回で会った相手は「九霧の会」世話人の迫田佳寿子さん(70)。学界からの黙殺が続く九重さんは「今回は、霧の中で何が起きたかではなく、霧の外で人がどう待っていたかを書く」と話す。

■「霧の中」ではなく「霧の外」

『一九七五年の窓』(既報、累計27万部)の著者・九重果林さんが取り組む次回作は、2003年の湾岸九霧事象を主題に据える。9月1日の既報時点で構想が明らかになっていたテーマだが、11日までに、九霧に関わる聞き取りが61人目に達したことが分かった。九重さんは「原因や行方を推理する本ではありません。9日間、霧の外で待っていた人たちが、その時間をどう過ごしたかを書きます」と方向性を説明する。行方不明者12人の内訳(倉庫作業員5・釣り人3・住民2・TDA観測員2、既報)そのものには立ち入らず、残された側の記録に軸を置く構えだ。

■61人目、迫田佳寿子さんへの聞き取り

今回、61人目として応じたのは、「九霧の会」世話人の迫田佳寿子さん(70)。夫が当時47歳の倉庫作業員で、23年間行方不明のままだ。既報のとおり、迫田さんは毎月9日、湾岸緑道の慰霊碑前で「点呼」を続けている。九重さんは3時間にわたる聞き取りの中で、「二十三年間、発表という発表は全部聞きに行きました」という迫田さんの既報の言葉について、あらためて詳しい経緯を尋ねたという。「『手続きと、待つことは、別の棚にしまってある』という言い方に、この本のいちばん大事な部分が要約されている気がしました」と九重さんは話す。

■学界の黙殺、それでも増える読者

『一九七五年の窓』は刊行から3年で20回の増刷を重ねながら、学界からの評価は依然として得られていない(既報)。九重さんは「意味を求める書き方をする限り、学問の側の言葉には乗らない。それは分かっています」と話す一方、書店イベントでは今も若い読者が列をなす。次回作についても、事前に「原因を明らかにする本ではない」と繰り返し公言しているのは、期待の先取りによる誤解を避ける狙いがあるという。

■取材ノート214冊、次回作は別立て

九重さんの取材ノートは既報の214冊からさらに増えているが、九霧をテーマとする今回の聞き取り61人は、これまでの総取材人数(約320人)とは別に集計している。「同じ人に、テーマを変えて何度も話を聞くこともある。カウントを分けているのは、二重に驚かせたくないからです」と説明する。刊行時期は未定だが、九重さんは「霧が晴れるまでの9日間より、その後の二十三年の方が、実は長い時間の話になる」と話した。

■科学面と文化面の境界人、変わらず

九重さんの位置づけは既報のとおり、科学面と文化面の境界人のままだ。TDAは原因論争へのコメントを避ける立場を維持しており、次回作についても公式な見解は示していない。九重さんは「向こうがコメントしないのも、いつものことです」と笑いながら、聞き取りを続けるつもりだと話した。

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